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    case669

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    発掘した兄レオ

    ##兄レオ

    王の様に怠惰に裸のままベッドに横たわるレオナの足元に本物の王が跪き、そっと足を掬いあげていとも大切な物かのように爪先に口付けを落とす。まるで乞うように丹念に唇を何度も押し付けられ、躊躇いなく生温い口内に親指を含まれてぬるりと濡れた舌が皮膚の薄い場所まで丹念に這う。室内着とは言え、誰もが惚れ惚れするような見栄えのする巨躯を豪奢な刺繍とアクセサリーに彩られた男が、民の前に悠然と立つべき王が、誰からも望まれない弟に頭を垂れてあたかも決定権はレオナにあるかのように許しを請う。
    受け入れた所で、レオナが本当に欲しい物はくれない。
    拒んだ所で、レオナが首を縦に振るまできっと離してはくれない。
    結局の所、すべてはこの男次第。レオナがすべきことはただ「王に愛され、そして王を愛する弟」であることだけだ。
    気紛れに顔を足の裏で踏みつけてやっても止める処かべろりと土踏まずを一舐めされ、ちゅ、ちゅ、と音を立てながら移動した唇がくるぶしに甘く歯を立てる。
    「ご機嫌斜めだな、レオナ」
    脹脛に頬ずりをしてうっとりと笑う兄を冷めた目で眺め、そして耐え切れずに顔を反らした。本人にそのつもりが無いのはわかっているが、まるで当てつけられているかのようで胸の奥がちくちくする。
    応えないレオナを気にする様子も無く、脹脛から膝、内腿と次第に触れる唇が移動し、まだ消えずに増えるばかりのキスマークを更に上書きするように肌が吸われて思わず眉根が寄る。奪うならとっとと力任せにかっさらって行けば良いものを、これで与えているつもりなのだからタチが悪い。
    血を分けた実の弟の叢に躊躇いなく鼻先を突っ込み、まだ柔らかい性器の根元に幾度も口付けが落とす。片足を掴まれ広げられたまま、他人が股間に顔を埋めている間抜けな図を恥ずかしいと思う心はとうの昔に消えた。恥じらいはこの男を喜ばせるだけで何の得にもなりはしない。
    飽きもせずにちゅうちゅうと鼠径部から臍、胸元を通り首までしゃぶりつくした唇が最後に顎先に吸い付いて、離れる。レオナ、と熱の籠った吐息に呼ばれて渋々視線を戻せばすぐ間近に迫った瞳とかち合い、唇が重なる。
    「んぁ、……」
    そっと伺うように何度か啄み、そうして緩んだ所にぬるりと滑り込んだ舌先がとろりとレオナのそれと絡み合う。丁寧に粘膜を舐め尽すように擽り、それからちゅうと音を立てて一度離れると、レオナ、とまるで悪戯した子を嗜めるような声で呼ばれる。
    本心から、望んでいるわけでは無い。だが、兄はレオナの本心を望んでいない。
    鉛のように重く感じる両腕を、不本意ながら兄の首裏へと回して縋り付く。いつしか暗黙の了解となっていた、レオナから兄を求めているという合図。それだけでさも満足そうに笑う顔が、眩し過ぎて耐え切れずに瞼を伏せる。再び唇が重なり、今度は明確な意図を持って舌がレオナの口内をかき混ぜる。硬くなった物をごりごりと遠慮なしに腰に押し付けられ、肌を辿る手が熱い。
    為すがままに身を委ねながら腕に絡みつく兄の髪を緩く握る。いつも、手持無沙汰に触れる兄の髪。顔を埋めると太陽と兄の匂いがする事を知っていた。レオナを愛し甘やかしているつもりの兄は自ら膝をついてレオナを舐めまわす事はしても、レオナに何かをさせようとした事は一度もない。ただ愛玩されるだけの人形そのもの。人形にも心があることなんて気にしてやいない。否、兄が愛した人形が思い通りにならないわけがないと信じて疑いもしない。
    レオナが唯一自由に出来るのは、兄の太陽の色をした豊かな髪しか無かった。
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