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    case669

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    case669

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    ワンドロの約束のお題で書いたけど牙のお題で書いた物の続き?になってしまったのでタグ無しで
    設定捏ねながら書いてるからよくわからないと思うごめんなさい
    特殊な組織に所属する未来のレオジャミ

    ##レオジャミ

    少々余計な掃除もしてしまったがこれにて無事に任務完了。保護した女性は支局に預けて晴れて次の任務まで自由の身。これが熱砂の国で無ければのんびり観光でも、と思うところだがまだカリムと直接会う勇気がジャミルにはない。余計な事をしてうっかり見つかる前にさっさと退散するに限る。
    「このまま本部に帰還で良いですか?」
    「ああ」
    支局のポータルを借りれば遠く離れた本部まで一瞬で辿り着く。まずは砂埃にまみれた生活からようやく解放された事を噛み締める為にもシャワーでも浴びてさっぱりしたいし、その後は任務成功の祝杯でも上げたい。なんせ今日はレオナがようやく見習いを卒業し、めでたくジャミルの同僚となって初めての任務成功だ。
    やっと、同じ場所に立てた。やっと、同じ未来へ向かうスタートラインに並ぶことが出来た。レオナにとっては見習いとして放り込まれた今までの任務に比べて随分と簡単な任務で祝杯も何も無いかもしれないが、ジャミルにとっては待ちに待った日なのだから今日はぱーっと飲み明かしたい。



    狭いバスルームであちこちぶつけながら二人で身を清め、バスタブに張った湯にぎゅうぎゅう詰めになって沈み一息着く。レオナが正式採用されたのだから早く一人用の個室では無く複数人用の部屋への移動申請をしなければと思いながら背凭れを買って出たレオナの柔らかな胸板に背を預け、暖かな湯に揺蕩う心地好さに思わずとろりと意識が溶ける。
    「ジャミル」
    低く穏やかな声に耳許で名前を呼ばれてどきりと鼓動が跳ねた。わざとらしくちゅうと水音を立てて耳朶を啄むレオナを細めた横目で振り替える。
    「なんです?」
    「明日からの予定、あるか?」
    宥めるように頬にも唇を触れさせながら至近距離で問われ、溶けかけた脳を働かせる。今回の任務に掛かった期間は一週間程。見習いを卒業したばかりのレオナと初めて二人きりで挑む任務ということで少し多めに日にちをもらっていたから次の任務までは三日の空白がある。その間にやりたいことと言えば引越しの為の準備くらいで今すぐやらなければならないわけでもない。
    「緊急性の高い任務が捩じ込まれない限りは特にありませんけど」
    「じゃあ、一度、国に連れて帰っても良いか?」
    ふわふわと心地好さに揺蕩っていた意識が覚醒した。レオナが、ジャミルを伴って故郷へと帰る意味。振り返り、真正面からレオナを見る。
    「本当は花でも指輪でも贈って盛大にプロポーズしてやっても良かったんだがな。でもお前はそういうの、興味ねぇだろ」
    「どんな顔で何を言ってくれるのかは興味ありますけどね」
    「なら後でやってやるよテメェが恥ずかしくて外歩けなくなるくらいド派手なやつを」
    「結構です」
    レオナがくつくつと笑う振動が背に伝わる。絶対にやるなよ、という意思を込めてジャミルの腹を緩く抱くレオナの手の甲をやんわりとつねってやった。
    「まあ、だから、それ以外の外堀は埋めてやろうかと思ってな」
    「……そんな信用無いです?」
    「信用が無いと言うよりテメェから俺以外の選択肢が無くなって行くのを見るのが好きなだけだ」
    「うわ……」
    「引いてんじゃねえよ」
    笑いながら足を蹴られるが湯の中では大した威力もない。揺れる水面がぱしゃりと水音を立てた。
    「とうの昔に、貴方以外の選択肢は尽きたと思ってたんですけどね」
    「人生に選択肢が尽きることは無いって教えてくれたのはお前だがな」
    「まさか本当に此処まで追い掛けて来てくれるとは思ってませんでしたけど」
    「嫌だったか?」
    「わかってるくせに聞かないでください」
    からりと笑うレオナの声が狭いバスルームに響いた。それから、のしりとジャミルの肩に顎が乗せられ、腹の上から離れたレオナの右手が小指だけを立てて目の前に翳される。
    「ん」
    「なんです?」
    「とりあえず約束だけでもしておこうかと思ってな」
    「何を?」
    「聞きたいか?」
    「聞かなければ約束も何も無いでしょう」
    「汝は健やかなる時も病める時も」
    「やっぱりいいです」
    その先を言わせないように、慌てて右手の小指をレオナの小指に絡める。ぎゅうと捕らわれた小指は、子供染みた仕草とは裏腹に一生この感触を忘れないのだろうなとジャミルは思った。
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    recommended works

    やなぎ くみこ

    DONE #かなすな_二時間の宴 「信じられない」
    カリジャミの子供、ジェレミーが出てきます(名前は某アニメでアラジンとジーニーをモチーフにしているキャラから拝借しました)
    ナチュラルに男体妊娠させてます
    信じられない アジーム家の当主、カリム•アルアジームの嫡男であるジェレミー•アルアジームに、母親はいない。


    「またジェレミー様が消えた!」
    「探せ探せ! きっと宝物庫にいるはずだ!」
     ジェレミーにとって家はダンジョンとほぼ同義だ。入り組んだ廊下、宝物の数々。そして執事や使用人はモンスターで、間違って鉢合ってしまえばその場で戦闘だ。大体彼らの方が達者で見つかれば即勉強部屋に戻されてしまったり、安全な場所に連れて行かれてしまうのでジェレミーは極力見つからないように息を潜め、足音を立てぬよう細心の注意を払って屋敷中を駆け巡る。
     奴らは目敏いが隠れることに関しては自分の方が上だと自負しているジェレミーは、今日も人の気配を察してサッと身を隠す。自分を探しているであろう相手が数歩右往左往する足音がジェレミーの耳を喜ばせた。暗闇の中で小さくなったまま「クププ」とほくそ笑み、そろそろ違う場所に移動しようかと脚を伸ばしたとき、被っていた壺がスポッとどこかへ行ってしまった。
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