りいだあは叱られたい「これ、何?」
豊前の部屋を訪れていた松井が、棚の上にあるものを指差した。その指の先には、豊前が先日万屋から帰る途中で引いた当たりくじで貰ったものの、どう処理していいかわからないガラクタが無造作に置いてあった。
あっ、と声を出してから、豊前の目があからさまに泳ぐ。その仕草を見ただけで、松井はそのガラクタの出自を瞬時に理解した。
「……豊前、ちょっとそこに座ろうか」
切れ長の目に、鋭さが宿る。命じられるまま松井の前に正座する豊前。
いつもは穏やかな表情をきりりと引き締めて、松井は豊前の顔を真っ直ぐに見つめた。そして何か言おうとした瞬間、豊前の方が先に口を開く。
「そのー、あれだよ! なんつーか、ちょっとした運試し? 的な?」
2393