少年は知る「うーん…」
洗面所の鏡に映る自分は、随分と難しい顔をしている。
別に、今日の髪のセットがいまいちだったという訳ではない。それどころか、ここ最近では一番上手くいったのではないかと思うぐらいだ。
一部の乱れもなくきっちりと撫で付け、整髪料で固めたリーゼントと、長い前髪を使ってボリュームを持たせたポンパドール。日によってはいまいち上手くできない時もあるのだから―それでも他者からすれば、どこがどう違うのか見当がつかないものなのだが―、それを踏まえると本当に今日は仗助にとってパーフェクトに近いほどのセットだった。
本当なら、それに気を良くしてもいいはずである。だというのに依然彼が難しい顔をしているのは、仗助の首筋に残った傷にあった。
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