自宅の扉の前に人影があった。一瞬警戒したが、すぐに解いて歩き出す。なぜなら、そこに居たのは同僚のフランツだったからだ。こちらに気づくとフランツは満面の笑みで手を振ってきた。
「やっほーロゼロ。待ったヨ~」
こちらに近づきながらフランツは人懐っこく話しかけてくる。その言葉を無視してロゼロは自宅に帰ろうとするが、腕を引っ張られ阻止されてしまった。ロゼロは、わざとらしく大きくため息をつき口を開く。
「……何?……」
「あレレー?どうしたのォ?すっごい不機嫌だネェ」
「……別に、イツも通りだ」
「マたマた~ソンなこト言っちゃっテェ~」
フランツは、ロゼロの眉間に人差し指でグリグリと遠慮なく強く皺をほぐすように押し回す。ロゼロはフランツの手を乱暴に払いのけ、自分の家に入ろうとドアノブに手を伸ばすが、フランツに肩を組まれてしまい入ることができなかった。
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