行楽日和 マナの女神に選ばれた勇者たちは、昨夜遅く商業都市バイゼルに到着した。
神獣との連戦続きで武器も道具も心許なく、さらに疲労が溜まっているのも確かでせっかくならばすべて揃う大きな都市に行くぞ言い出したのはデュランだった。
そして一夜を過ごし泊まる宿の窓を開ければ、雲ひとつない清々しいくらいの青空、いま自分たちの置かれている状況「神獣を倒す旅」のことを忘れてしまいそうだった。
この土地をよく知るフォルセナ出身のデュランは、せっかくなら朝市で飯を調達しないかと砂漠育ちと夜の森で育った二人の仲間を外へ連れ出す。
街の中へ歩みをすすめるだけで気持ちのいい潮風が活気のある声とともに身体をすり抜ける、戦いの息抜きには丁度いいなと思わず口角を上げていた。
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