「キスをしても、いいでしょうか」
「……どうぞ」
クリスさんの薄くてやわらかい唇がわたしの唇に触れた。ちゅう、と音を立てて、わたしたちはおままごとみたいなキスをする。すぐに離れて、また触れて、戯れ合って熱を分けあった。唇が五度重なって、クリスさんのうつくしいアンバーの瞳がすうと細められたのを合図にわたしたちの身体はベッドに沈んで、呼応するように口づけは深くなる。少しぎこちなく唇をつつくクリスさんの舌先を受け入れて、わたしは目を閉じた。絡み合う舌から伝わる熱と、時折漏れる切なげな吐息だけがわたしの意識を支配する。はじめは遠慮がちに滑り込んできたクリスさんの舌は、気づけばずいぶん大胆にわたしを舐り尽くしていた。何度も繰り返すうちにだんだんと長くなっていくキスに、息継ぎの仕方すらも忘れて、わたしはクリスさんから与えられる愛に溺れる。
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