ホットサマーアンドモーニンググローリー「お母さん、行ってきます!」
「いってらしゃい。暑いから気を付けるのよ」
「大丈夫!」
心配症なお母さんの言葉に応えて、私は家を出た。途端に、痛いくらいの日差しが目や肌に突き刺さってくる。
暑い。
ほんの少し、くらり……とした感覚がして、慌てて日傘を刺す。
今年の夏は、例年にない暑さだって、確かニュースで言っていた。
子どもの頃も夏は当たり前みたいに暑かったけれど、だんだんと、暑くなってきてる気がする。
嫌だなぁ……暑いの嫌いだなぁ。
塾なんか行かないで、クーラーの効いた涼しい部屋で、ゲームしたり冷たいものを飲んだりしていたい。
でも、そうも言ってられないな……
「暑い………」
諦めて歩き出したけれど、ふと、目の端に紫色の花が見えて、私は足を止めた。
1963