鬼切くんと看病の話頼光が体調を崩して寝込んでいる姿は、いつもの威厳ある彼とは全く違って見えた。
鬼切は、いつもは毅然としている頼光が今は明らかに不調であることを感じ取り、不安を覚えた。
しかし、何をどうすればいいのか、彼は全く知らなかった。
普段は静かで二人だけの部屋も、今日はざわざわとしており、頼光に仕える女房たちがせっせと看病をしている。
鬼切はその様子をじっと見つめながら、どうにもできず、ただ隅にじっと座っていた。
彼女たちが布を湿らせたり、薬を準備したりするのを観察していたが、頼光は彼女たちにぞんざいに声をかけ、早々に追い返してしまった。
「もういい。これ以上は無用だ」
家に対する不信感がある彼は、普段から女房たちが自室に入ることすら嫌っていた。
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