【設定】詐欺師とシスター【世界設定】
未だヒト同士の争いの耐えない中世の世界観のファンタジー物。
登場人物は全て動物を擬人化したものです(人間に動物の耳が生えているのではなく、キャラクターな感じの動物の頭がついている感じ。なので、頭部以外は結構人間の形をしている)
全ての土地がヒトの物になっている訳ではない自然の残る世界です。
王国だとかそういう"国"が点在し、どこにも属してない村とか町とかもあります。
貿易とかも普通に行いますが、大きな町、国などは国土拡大を狙ってよそに攻め込んだりもします。
基本は大きくても小さくてもうちはうち、よそはよそ精神で平和な関係を築いています。
同盟とか連合とか、何かしらの利害関係で仲良くしてる場合も普通にあります。
【登場人物】
✦詐欺師さん
戦果に巻き込まれて消えた町で生まれ育った青年。神様に敬虔な家庭の四人家族で兄がいた。中々綺麗な顔立ちをしたネコ。
元々素直で善性の高い子供だったけど、素行の悪い歳の離れた兄に散々な事を言われる生活の末次第に善い行いをする事に抵抗を感じるようになり、疑いのような感情を持ち始めて苦悩してしまう。
そんなある日、関係のない戦争に町が巻き込まれ、辺り一面が火の海になってしまう。兄と話していた最中に爆発音が聞こえたのを最後に意識を失っていた詐欺師さんが目を覚ますと、そこには崩れた瓦礫に挟まれながら炎に飲み込まれつつある兄の姿があった。
「ほれ見ろ。いっくら神様を敬ったって死ぬ時は死ぬんだ。私ははなから神様なんぞ信じちゃいないけど、お前は信じていたんだろう。なら、私が死ぬ所を見るがいい。そして祈ってみるがいい。神様は何もしてくれないぞ」
いつものようにへらへらと笑いつつも血を流し、少し苦悶の表情を浮かべながらそう言った兄は聞くに耐えない悲鳴をあげながら炎に巻かれて詐欺師さんの目の前で焼け死んだ。
神様への信頼と、神様への失望と、神様なんてこんなもんだと嗤う兄の影に苛まれながら、詐欺行為(宗教関係者を装った金銭の騙し取り)を働きつつ町を転々と渡り歩く生活をしている。
自らの行いのせいもあり、ヒトを信じられない。捕まって裁かれるのではないかという恐怖と常に戦っている。
✦泣き虫シスター
神様に尽くす事が大好きだった女の子。神様を信じ、敬っていれば皆幸せになれると信じていた。平々凡々な見た目をした背の低いネコ。
しかしある日、村に侵略者が訪れ非道の限りを尽くされてしまう。
戦った男達は皆殺しにされ、女はいいように扱われ、家々は炎に包まれた。神様が下す罰を目の前に出されたような惨劇を目の当たりにし、シスターはショックを受け常に泣いてしまうぐらい心に深い傷を負った。
お前だけは逃げて、と家族や親切なヒトの手引により、シスターは無傷なまま村を逃げ出す事に成功したが、皆必死に逃げたので散り散りになってしまい滅んだ村の皆が今どこにいるのか、生きているのかすら彼女は分からない。
奇跡的にとある町のとある教会にシスターとして入れたので、表面上は平穏に暮らしている。
しかし心の傷は深く、トラウマで仕事に支障が出たりしているので教会内では肩身が狭い。
惨劇を体験してもなお彼女の信仰は失われず、今日も泣きながら神様に『世界が平和でありますように』と祈りを捧げている。
✦詐欺師さんの兄
既に亡くなっている詐欺師さんの実の兄。すらりとした体のとてもハンサムなネコ。
弟に興味がないので遊んでやるだとか"兄らしい事"は一切してこなかった。
敬虔な家にいたにも関わらず神様を信じておらず、暴力もヒトを騙す事も陥れる事もしてきた悪いヒト。子供の頃から問題児だったので両親は困り果てていた。
善い行いをするのが嫌で、10代の中頃から家に帰ったり帰らなかったりしていた。帰る度に馬鹿正直に神様を敬っている弟によくない事を吹き込むのが楽しくて、見つけ次第捕まえて悪い考えを吹き込んでいた。
しかしある日、町が戦火に巻き込まれ、混乱の最中に会えた弟を庇って焼死してしまう。
家族というものに疎外感を感じ、どうして自分はこんなんなんだろう?と悩みつつもずっと"正しい行い"というものに反抗を続けており、いつか何かで死ぬんだろうなとは自覚していた。
それが今日なだけであった話なので、本人としてはまぁこんなもんかな、ぐらいの気持ちで焼かれて逝った。
「まぁ、焼き殺されるっていうのがこんなに苦しいのは想定外だったけど、所謂罰(ばち)が当たったんじゃないかな。ハハハハハ」