無題2025青火の日
ある朝〜
「ん…あ!…あぁあー…」
「んぁ?…なんだよ火神うるせーな、どうした?」
「…寝てた。朝じゃねーか!なんで起こしてくんなかったんだよ、青峰…」
「あ?おめーが昨日帰ってきてすぐ…」
〜昨日、5月10日の夜〜
「……ただいま。」
「おかえり、…ってお前顔色わるくね?」
そう、ここ最近アルバイトが忙しく寝れていない上に土曜日のアルバイトで火神の体は完全に悲鳴をあげた。
(寝る…数時間だけでもとにかく寝ねーと…)
「……少し寝る。20時頃起こしてくれ…」
「お、おぅ…わかった。」
20時頃起きれば…あの日には間に合うだろう…。
こうして現在に至る(5月11日AM5:00)
「20時頃起こしてくれって言ったろ!?」
「んだよ?お前顔色悪りぃから寝かせといてやったんだろーが?」
「…!…わりぃ。」
青峰が指摘するくらい顔色が悪かったようで…
(まぁ確かに調子が悪かったからか、珍しく数日食欲なかったしな…。あのまま飯とか作って食ってたら気分悪くなってただろうし。)
「んで?今はもういいのかよ?」
「あ、おぅ…。わりぃな青峰…」
そう体調は問題ない…が
(はぁあ……黒子が教えてくれたあの日が過ぎちまった…。ガラじゃねーけどこいつと祝いたかったのによ…青峰喜びそうだなって…はぁあ…。)
「おい、火神。」
「!…な、なんだよ…?」
(やべぇ、考えすぎて目の前の青峰のこと忘れてた…。)
「…過ぎてもいいだろーが。祝いてぇんだろ?祝おうぜ、ほら」
ぽんと見慣れないボックスみたいな小さなケース?を渡されて…
「…なんだこれ?」
「っておい、知らねーのかよ?…ったく、手出せ火神…」
青峰がそのボックスを開けてぐいっと勢いよく俺の手を掴み、その先には…。
「!…お、お前これ…!」
「お、さすがに中身は知ってんな?まぁ…それつけてるもんな…けどそのお前がつけてるもんとはちげぇよ。」
そう、俺が今ネックレスとしてつけてる昔タツヤからもらった指輪そのもので…けど、つけてるもんとはちげぇ…ってどういうことだ?指輪は指輪じゃねーの?
「…わかんねーって顔してんな?……その指輪は俺とお前の婚約指輪だ。結婚しろ火神。」
「…っー!!?お、お前何言って…!!け、結婚なんて大学生だし…大体俺とお前じゃできねーだろーが!」
そう、男同士だ。できるわけがねー、第一…
「…俺たち付き合ってねーだろーが!!?」
(1番重要だろ!?あ、でも人それぞれだってタツヤも言ってたな…。けど俺ら出逢ってまだ数年だろ!!)
「あー、けどお前といてぇって思ったからいーだろーが。」
「あほ!…こーいうのはちゃんとしねーといけねーんだぞ!黒子が言ってた!」
「チッ、…テツ、テツうるせーな…。
大人しくお前は俺のプロポーズ受ければいいんだよ。」
「お前、お前…。ほんっと………青峰大輝だよな…。」
「あ?んだよ?」
(バスケの実力は悔しいけどめちゃくちゃすげーし、かっけぇ。…けど強引で口が悪くて初対面の出逢いは正直最悪だった。
でもそうだな、なぜか一緒に暮らすことになって黒子が教えてくれたあの日を青峰と祝ったらー。
青峰、どんな顔するんだ?とか思うくらいいつの間にか青峰が俺の中に入り込んだんだよな…)
「青峰…俺…」
「…あー火神、断んなよ?……俺たちの日に合わせてんだからな…。さすがにきついわ…」
「!!…お前…そういえばさっき箱渡してきた時も…知ってたのか?」
「…さつきとテツから聞いて、ガラじゃねーけど俺たちの日って聞いてテンション上がって気づいたらそれ…買ってたんだよ。くそっ…」
…そう、あの日は俺と青峰の高校の頃の背番号。
桐皇5番が青峰、誠凛10番が俺。…それにちなんだ5月10日。
「…んだよ、なんか言えよ火神…」
「…あほ、あぁあー俺だってな…お前との日楽しみにしてたんだよ!」
「知ってる、お前俺との日楽しみにしてバイト人足りねーから出てくれって電話で言われた時、俺の顔見て落ち込んでたもんな?」
(そう、まじでその時はテンション下がったんだよ。
ってかこいつよく見てるよな…。)
「だから…正直最悪な日になっちまった…って思ったけど…」
「かはっ、サイコーの日の間違いだろ?」
「…過ぎてるけどな…」
「いーんだよ、お前こまけーことうるせーよな。ごちゃごちゃ考えんなよ。…もう一回だけ言うぞ、俺と結婚しろ、かがんむっ…!」
あほ、ほんっとあほだよな…でも…
「…は…っ…その結婚受けてやる!」
「!…かはっ、おまえほんっと…サイコーだわ。」
そんなやつと柄にもねーけどこういう日とか記念日とかもっといたいと思っちまう俺もばかなんだろうな…。
end