尊奈門の休日「ねぇ尊奈門、聞いてる?」
「聞いてますよ〜…」
「本当に聞いてる?」
「聞いてますってば〜」
尊奈門は何度目になるのか分からない“聞いてますよ”を口にして内心大きくため息を吐いた。原因は言わずもがな、目の前にいる。
「聞いてないっ!」
「聞いてます〜!」
「そんな態度ね“聞いてる“なんてよく言えるわね!面倒くさそうな顔してるじゃないっ!」
「だぁって、昨日だって同じ話してたじゃないですか〜っ」
目の前でとびきり甘いこし餡の乗った団子を片手に、口を尖らせているこの少女のせいだ。
彼女は尊奈門の3つ年下だし、背格好だって尊奈門の方が大きい。
けれどこの少女は、タソガレドキ城城主黄昏甚兵衛の愛娘。つまりは尊奈門よりもずっとずぅっと、地位が高かった。
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