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    yonyong

    @yonyong1851121

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    yonyong

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    ドンジュオヨン+ドフン
    とにかくお互いが邪魔で仕方ない
    巻き込まれオヨン笑

    番犬?駄犬?「ドフンを見なかったか」
    1チームの事務所にやってきたヨンがきょろきょろと辺りを見回しながら近くにいたドンジュに声をかける。
    「誰です?」
    「ドフンだ、イン・ドフン課長!」
    明らか聞こえないふりをする男にヨンは眉を顰めながら溜息を吐いて、見慣れた課長室を覗き込む。
    すっきり整理された部屋には誰もおらず、ヨンは後ろをついて回るドンジュを振り返った。
    「どこだ」
    そういえば朝挨拶をしたきり姿を見せていない、とヘヨンが言った。
    「オ局長、なんであの人がうちの課長に?」
    ヘヨンはいまだドフンの事が気に入らないらしい。何かと目の敵にしてヨンに泣きついてくるが、色々な思惑やしがらみに雁字搦めになっているドフンを見ると気が気でないのがヨンの心境だ。イン・テジュンの息子という事実は横において、一人の人間としてもっと自由に生かしてやりたいと思うこともあった。
    そして、たびたび互いの部屋を行き来するヨンとドフンに異常な警戒心を見せているのが目の前のファン・ドンジュだ。
    ヨンがドフンを庇えば臍を曲げるし、ドフンがヨンを頼れば邪魔しに入ろうとしてヨンに叱られる。
    今も、ヨンが仕事の用でこちらに来たというのにドンジュは知らん顔をして、むしろ会わせないようにすらしている始末。
    よほどドフンが嫌いなのか、と周囲の仲間は半ば呆れているが、実際は稚拙な嫉妬心ゆえの事。
    「まったく、落ち着かないやつだ」
    ヨンが呟いて事務所を出ようとすると、
    「そういえば、僕もあいつに用があるんでした!一緒に探しましょう!」
    とドンジュがレターケースに置いてある書類を適当に持ち上げにこりと笑った。
    ヨンは胡散臭い素振りの男をじとりと見遣るが、ドンジュがあまりに意気揚々と先立って歩いて行くので仕方なくそれについて行く。
    「絶対嘘よね」
    「だって、あれソさんの始末書……」
    「えっ、うそ!」
    アン班長とハンビンの囁きやヘヨンの叫びは二人には届かなかった。
    「おっ、ドフン!」
    5局が入っている雑居ビルのエントランス。開けたそこは様々な店が入っているため常に人でごった返しているが、そんな賑やかな雰囲気が苦手なのかドフンは不愉快そうな表情で部下を引き連れ事務所の方へ歩いてくるところだった。
    ヨンが手を上げると、ドフンは彼の隣にいる男を見てぎょっとした顔をするがすぐにいつものつんとした冷たい表情で浅く頭を下げる。
    あくまでヨンに対しての礼儀であって、隣でじっと様子を窺っているドンジュには小突いてやりたいくらい腹が立つ。
    お互い相容れない感情を知っているので苛烈な視線がぶつかりあい、見えない火花が弾けた。
    「どうしました?」
    「ああ、お前に渡す書類があってな」
    「そんなもの部下に届けさせれば済むでしょう」
    「たまには5局を覗いたっていいだろ」
    「たまにってしょっちゅう来てるくせに」
    書類を渡しながらヨンが笑うと、ドフンが少し表情を和らげる。昔から知っているせいか、ドフンはヨンに対して対応が柔和だ。
    ドンジュはそれがどうにも気に入らず、増々しかめっ面になる。
    「おい、間抜け面、用がないなら帰れ」
    ドフンがドンジュを見てフンと鼻を鳴らして言った。
    「言われなくても帰るよバーカ!」
    「バカみたいな言い方をするお前がバカだ」
    ヨンを挟んで不毛な争いをする大の大人を、塾へ向かう学生や租税局や他店へ向かう市民たちが不思議そうに遠巻きに眺めていて、ヨンは頭を抱えて大きなため息を吐いた。
    「馬鹿ども!いい加減にしろ!!」
    小気味いい乾いた音が一発。
    「えっ、なんで僕だけ」
    目を大きく見開いたドンジュが後頭部をさすりながら呆然と呟いた。
    「先に仕掛けたのはお前だろ。ドフンもこんな奴の相手なんかしなくていいんだぞ」
    「局長……ドフンと何か……さては僕に隠していることが!」
    「……もう知らん」
    かぶりを振ったヨンの表情筋は死んでいてこれ以上の説得を諦めた様子だ。
    「すまん、かわいそうな奴なんだ」
    「ええ……知っています」
    背後できゃんきゃんと騒ぐドンジュを尻目にヨンは力なくドフンの肩を叩いて立ち去った。
    人情家で知られるヨンだが、ここまで人に肩入れするのはファン・ドンジュが初めてかもしれない、とドフンは思った。
    17年前の事件以降、局の人間たちや案件との間に一線を引き、どこか傍観者として深く関わりすぎないようにしているのを知っている。
    おそらくその一線を無遠慮に越えたのはドンジュで、ヨンもそれを受け入れたのだろう。
    気の置けない関係になりつつある(もしくはすでになっている)二人を少し羨ましく思うこの感情に戸惑いながら、ドフンは目の前の憎らしい同級生に冷めた視線を向けた。
    「お前は何も分かってないな」
    「……何が」
    「……いや、いい。精々そうやってあの人の番犬でもしてろ」
    「ふん、言ってろ。ちょっとでも何かしたら噛みついてやる」
    もうすでに飼い主の制御不能なほど暴走しているだろ、とドフンは自分を睨む男を見て口角を歪めた。
    「オ局長も大変なやつに懐かれたもんだ」
    反論をぐっと飲みこみドフンは大仰に肩を竦めると、騒々しい空間から逃れるように遠くで心配そうな顔をする部下の方へ足を向け立ち去る。
    「やっぱり気に食わない奴……」
    ドフンの背中を穴が開きそうなほど見た後、ドンジュが苦々しく呟く。
    自分の知らないヨンを知っている男。
    たとえ何も思惑が無いにしても、これ以上近づけるのは危険だと本能が警告していた。
    ヨンは懐にさえ入ってしまえば持ち前の情の深さからその人を無碍にはしない。もしあいつがそうなったら……。
    いや、もうすでにそうなのか……?
    嫌な想像ばかりが掻き立てられ、ドンジュは我に返るとすでに局長室へ向かっているだろうヨンの後を追いかけるように駆け出した。

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