【二次創作】プールで水着デートする話(春クリ)春とプールへ行くことになり、クリスは一人で水着売り場にやってきた。店内には、色とりどりで種類豊富な水着が並んでいた。
店内を歩きながら、どんなものがあるか眺めていく。
胴体の露出がほぼない水着もあるが、デートならもう少し水着らしいものを着てみたい気がする。しかしビキニは恥ずかしい。
「ーーわあ、かわいい!」
延々と店内を回り、ようやく気に入ったものを見つける。早速試着室に入り、水着を着て鏡の前に立つ。
自分で言うのもなんだが、似合っているのではないかと思う。
(春さんも似合うと言ってくれるでしょうか……)
春の反応を想像して、クリスは顔を綻ばせた。
***
暑い日が続くこともあり、プールは人でごった返していた。更衣室から出た春は、クリスが来るのを待つ。
「春さん、お待たせしました」
春が振り返ると、ラッシュガードをきっちり着込んだクリスの姿があった。裾からスカート型の水着がのぞいている。
「あ、あの、今日のために水着を買ったのですが、まだちょっと恥ずかしくて、その……後で見てください……!」
「ふふ、わかりました。いつでも大丈夫ですよ」
顔を赤くするクリスを微笑ましく思いながら、春は頷いた。
「春さんのその水着、よく似合っています」
「ありがとうございます。これが一番楽でして」
海水パンツにパーカーを羽織った姿の春が笑って答えた。
二人はプールサイドを歩いて、人の少なそうな場所を探す。しかし、どこもかしこも人で埋まっている。
「凄いですね、まさかこんなに人が集まるとは」
「そうですね、もう少し早く来ればよかったかもしれません」
春は申し訳なさそうに言った。
「春さんは、静かなところがお好きですもんね。私もです」
クリスは春と手を繋ぎ、他の人の邪魔にならないように、場所を移動した。
「すみません、あまり人が少ないところは見つかりませんでした」
「いえ、気になさらないでください。素敵な場所はまた探せばいいですから」
春はクリスに優しく微笑んだ。
「そうですね。今日は楽しみましょう」
クリスは頷き、二人は水の中に入る。空気を入れておいた浮き輪に、はぐれないよう掴まる。
透き通った水に、日差しがキラキラと反射する。
「気持ちいいですね」
「はい、とても」
春は浮き輪に掴まったまま、クリスを引き寄せる。浮き輪を挟んで二人は密着した。
「人も多いので、ちゃんと掴まっていないと危ないですよ」
「そ、そうですね」
二人は浮き輪をしっかり掴み、流れるプールを漂う。他愛ない会話をしながら、クリスは春に寄りかかる。人が多いとはいえ、距離は縮まり春はクリスの体温を感じた。
***
「少し人が減ってきましたね」
「はい、ですがまだまだ人が多いですね」
プールから上がった春とクリスは浮き輪から手を離し、二人で手を繋いで歩く。
「……春さん、あの、よかったらお願いがあるのですが……」
クリスは少し恥ずかしそうに言った。
「なんでしょう?」
「一緒に写真を撮って欲しいです」
クリスはスマホを取り出して、少し上目遣いで春を見た。
「もちろんです」
春の返事を聞いてクリスはぱっと表情を明るくする。
そして緊張した手付きでラッシュガードのチャックを開け、水着姿をあらわにする。
水色のフレアビキニで、上下ともフリルの付いた可愛らしいデザインだ。
「どう、でしょうか。似合いますか?」
「ええ、とても似合っていますよ」
春は優しく微笑んだ。
「そうですか、よかったです。これ、春さんと一緒なら着られるかな、と思って買ったんです」
「あら、そうだったんですね」
「はい。……あっ、でも!」
クリスは何かに気づき、声を上げる。そして頬を染めながら、小さな声でつぶやいた。
「あ、あまり他の人には見せたくないので……あの、春さんと一緒の時だけ、ですね」
クリスは恥ずかしそうに目を逸らしながら言う。春はその様子を微笑ましく思いながら、クリスを抱きしめた。
「では、独り占めですね」
「は、はい、ありがとうございます」
クリスは嬉しそうに、ぎゅっと春を抱きしめた。
写真を取った後も、二人は穏やかな時間を過ごした。