「…………どうゆうことだ……?」
そっくりだがわかる。兄ではない。弟のほうだ。
…………忌々しい顔だ。茨はそう思った。
茨は十条兄弟の顔が嫌いだった。彼らに恨みは無い。だけれど親戚というだけで、己を認知すらしなかったクズのような先祖もきっとこんな顔立ちだったのかもしれないなどと、余計なヒントとなり愉快な気持ちにはなれなかった。
けれど今はそれどころじゃない。どうしてガラスの中の十条要は茨が瞬きをすれば瞬きをして、首を傾げればおんなじようにするのだろうか。
茨はパンッと己の頬をたたいた。夢を見ているのだと思ったのだ。しかし叩いた頬がじくじく痛むばかりで、一向に視界がクリアなまま、夢から醒める気配はない。
これはどうゆうことだろうか。……自分が十条要に乗り移ったというのであろうか。悪い薬でも飲んだのだろうか。あの魔法使いが違法スレスレの薬品でも作って己で実験でもしたのだろうか。
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