すきと“好き”バレンタインからほぼひと月が過ぎ、シャンクスは妙にそわそわしていた。バギーから貰った手作りチョコの味が忘れられず、それ以上に、あの日のバギーの照れた顔が何故か頭から離れない。
「おれも、バギーに何かお返しないとな」
船員たちに相談を持ちかけると、意外にもロジャー海賊団の大人たちはニヤニヤしながら反応した。それぞれが華やかなリボンや包装紙に包まれた箱や袋を、どうだとばかりにシャンクスの前に掲げる。
「え、え、ズリいよ!いつの間に!」
シャンクスは大きな目をさらに丸くした。大人たちがバギーにホワイトデーのお返しをちゃんと用意してるなんて知らなかったのだ。自分は何も持っていない。
「おれ、何も用意出来てねェ!」
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