アロンダイトの鯖になっておしまい/ルクジェミ ドッ、と重々しい音を立ててベッドに押し倒されたジェイミーがやや億劫そうな眼差しで自分に覆い被さる恋人を見上げる。普段穏やかな浅葱色の瞳は薄っすらと翳り、冷たく細められていた。
「……俺の話、聞いてたか?ジェイミー」
「……聞いてたけど」
「ふうん。それなのに、やったんだ」
ルークの低い声が冷えた空気を震わせる。常の爽やかで優しい低音ではない、何の感情も乗っていない声色だった。
今日、ジェイミーは久方振りに男と会っていた。特に理由があったわけではなく、恋人の帰りが遅くなるというからそれまでの暇つぶしとして選んだ手段だった。セックスはしていない。身体の接触すらなく、ただ飲み屋で他愛ない会話を楽しんでいただけだった。
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