If Noctyxtory生い茂る木々に太陽が隠された薄暗い森の中、大きな岩を背もたれにして座る彼は童謡を口ずさんでいた。
機械の腕を止まり木にしてはくれないだろうかと傍で佇む小鳥に手を伸ばして、無惨に破壊された機械の脚には目もくれずただ穏やかにその時を楽しむ姿はまるで完成された一枚の絵画のようだ。
(綺麗だ…)
そんな不謹慎な感想が出てきた自分に吐き気がする。
きっと、目が覚めた時の自分は顔が青ざめているか、自分という存在に心底嫌気がさしているだろう。
でも今は、とにかく彼を一人にしたくないという気持ちばかりがどんどん大きく膨らんでいく。お願いだから、彼に寄り添わせて。
「ーーーー」
声を出そうとして失敗した。まるで喉に何かが詰まっているようだ。せめて、愛しいこの人の名前を呼びたかったのに。ひとりで居させたくなんてないのに。
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