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    ハイエド

    ・エドが吸血鬼設定
    ・アルは名前だけの別人(兄弟じゃない)
    ・一応R18
    ・錬金術師じゃない

    ※普段文字を書かない人間が書いています。

    昨年祖父が亡くなって両親が祖父の家を相続することになり
    僕は10歳の頃に引っ越しが決まった。

    祖父の家の外観は小さな僕でもわかるような豪華な屋敷で
    その大きさに興奮していた。

    だがその屋敷には窓がなかった。

    唯一の入り口を開くと真っ暗な室内に点々と蝋燭の光が揺れているだけだった。
    僕はそれをみて先ほどの興奮などどこかに飛んでいってしまって震えながら母の手をただただ握っていた。

    父に窓を取り付けてみてはと提案してもみたが、生前の祖父の遺言に
    屋敷はそのままにしてほしいとあったらしく僕の要望は通ることはなかった。

    はじめは薄暗い部屋に不満を抱いていた僕も1ヶ月も経つと
    それなりに場所も把握することもできたし、以前の僕の家とは比べ物にならない大きさの家にはやはり好奇心を抑えきれなかった。

    祖父の家は外観とは異なり、大きい割に内装は豪華とは言えず、生活感のある家具はそこそこで、あとは祖父の部屋にたくさんの本が丁寧に保管されているだけだった。
    お伽話の本や小難しい科学の本、旅行の日記、宝石の図鑑など種類も多く何もかも新鮮に感じる僕にはそれらが刺激的で時間を忘れて探索させた。

    いつものように祖父の部屋を物色していると
    色の違う床を見つけ、動かしてみると中には奥へと続く階段を見つけた。
    普段も薄暗い部屋であるのに、もっと暗い闇の中へと続く階段には埃は見えなかった。
    暗いから、と言うのもあるが床を開いた時に古く管理されていないもの特有の埃が舞うわけでもなかったのだからきっと誰かが掃除をマメにしていたのだろう。

    祖父の家には祖父の他に家事をこなすメイドがついていたらしいから
    こんな場所ももしかしたら手入れをするのかもしれない、と
    考え至った僕は気を使われている階段の先に興味が湧き、
    近くの蝋燭に火をつけると階段に足をつけた。

    降りていくとそこには湿ったコンクリートがあるわけでも
    絵本のような宝箱が積み上がっているわけでもなかった。
    ただそこには小綺麗な部屋だけが現れた。

    上にはなかった生活感のある馴染みやすい雰囲気であるのに
    上にはなかった高価そうな食器や家具、寝具には布団がひいており
    その上には真っ黒の棺が寝そべっていた。

    あべこべな部屋を一頻り調べ上げるが高価そうなものが幾つかあるが変わったものは
    寝具の上のものだけだった。
    棺から連想されるものなんて子供が欲しがる
    お宝なんかじゃないのはわかりきっている。
    蓋を開けてしまって取り返しのつかない事になっては困る。
    と頭の中では考えているのに手を伸ばす事をやめられなかった。



    開いた棺の奥には真っ白な顔をした少年が入っていた。
    金の髪を底に流した、僕より少し年上に見える少年は棺の中で静かに眠っていたのだ。

    「うわああああああ!?」

    思わず大声を上げると動かないと思っていたものが動くので
    もっと大きな声を出して尻餅をついた。

    「……ん…?うるせぇな……」

    棺から顔を出した少年はゆっくりと目を擦りながら焦点を僕に合わせた。

    「っ…!アル!!!起こすのが遅いぞ!!
    何かあったのかと心配したじゃねぇか!」

    起き上がった少年は棺から身を乗り出し、
    綺麗な金の瞳を尖らせて僕へ嬉しそうに怒号をあげた。
    僕は僕を親しげに”アル“と呼ぶ彼にもちろん見覚えなんかなかった。

    「あ、あの僕はアルフォンスだけど…」

    「?
    アルは人間なのに老けないんだ?
    なんなら少し若返った?
    目の色も青くなったのか?」

    僕の顔を冷たい白い手で添わすと話も聞かず彼はブツブツと呟いていた。
    いきなりの距離に驚く僕をよそに思い出したかのように彼は質問を続ける。

    「そうだ、賢者の石はどうなった?」

    「賢者の石って…あの永久に壊れないとか言う?
    確か永遠の命の元になるとか…」

    「ああ、あれがあればお前もオレと一緒に生きることができるだろ?
    まだ見つかってなかったのか?」

    「ちょっと待ってください、あの石はお伽話のものですよ。
    第一あなたの言うアルは僕じゃないと思います」

    勘違いを指摘すると彼の白い顔はみるみる青くなっていった。

    「アル、じゃないのか…?
    じゃあアルはどこに…?」

    「ごめんなさい、僕にはわからないです。」

    「だってアルが言ったじゃないか…!」

    「だから僕じゃないんですよ!」

    「今って…何年だ…?
    オレはどのくらい寝ていたんだ?」

    「今は1914年ですけど…」

    「そうか……」

    みるみると先ほどの勢いが失速していく目の前の少年に
    何か悪い事をした気分になる。

    「その、僕はあなたの言うアルさんじゃないですけど…
    名前をアルフォンス・ハイデリヒと言います。」

    「…オレはエドワード。
    …あんたもアルフォンスって言うんだな。
    アルフォンス・エルリックって名前聞いた事ないか?」

    アルフォンス・エルリック
    この名前は祖父のものだ。
    だけどこの人は僕と祖父を見間違えるような間違いをするだろうか?
    確かに母にはよく似ているとは言われたが歳の差が開きすぎていて似ても似つかないだろう。
    だがここは元々祖父の家で祖父の部屋から続く地下なのだ、祖父と関係が無いはずはない。

    「えっと…それは僕の祖父の名前と同じだけど…
    祖父は昨年病で他界しました。」

    どうにも話が見えずに言葉を詰まらせたままでいると、彼の質問を漂わせているだけになってしまっていた事を思い出し、ついつい不明瞭な心当たりを口に出してしまう。

    「そうか…じゃあお前はアルの孫ってわけか」

    「は、はい。そうなるんですか?
    …あの祖父?とはどう言う関係だったのですか?」

    見るからに祖父とは歳の差がある少年に疑問を抱かずにはいられない。
    棺で眠るような悪趣味な人間と友人であった祖父にも驚愕してしまう。

    「言っても仕方ないだろ」

    僕の返事に僕とは違い納得した様子のエドワードさんは
    今度はもう興味を失ったみたいに僕の言葉を跳ね飛ばし、棺に潜ろうとしていた。

    「あの!ここはもう僕たちの家になったんです。
    家族でないあなたをこのまま家に住まわせておくわけにはいきません。
    事情を話してくれればこのことは両親には内緒にしますから。」

    「……」

    もちろん僕の一存でこんな勝手できるわけはない。
    ましてや祖父が隠していた綺麗な部屋はまるで屋敷自体が宝石箱であり
    彼を守ろうとしていたように見えたのだ。
    きっと祖父もエドワードさんを追い出す事は望んでいなかっただろう。
    だが今は強引にでも彼の正体が気になる。


    「あなたは何者なんですか?」




    「…オレは、長く生きすぎた吸血鬼だよ」



    彼との最初の出会いだった。







    エドワードさんは吸血鬼だった。
    僕はその名前を絵本で聞いたのが初めてだったが、
    祖父の部屋にはその手の本が並んであったのでスッと飲み込む事ができた。

    そして彼と出会ってから僕は屋敷の探検を
    ほったらかして地下へと向かう事が増えていた。

    「エドワードさんはご飯はいらないんですか?」

    「オレは吸血鬼だから血があれば良いんだよ、
    最近貧血気味だが夜になったら森に狩に行ってる」

    「外に出てたんですか!?
    えっと両親にはエドワードさんのこと内緒だからここから出ちゃうと
    ちょっと困ります。」

    「えぇ…じゃあどうすりゃ良いんだよ」

    「うーん…僕の血じゃダメなんですか?」

    「いや、オレは嬉しいけど…嫌じゃないのかよ?」

    「でもそうしないとエドワードさんが倒れちゃいます。」

    「…じゃあまた今度頼むわ、今は腹一杯だから」

    そう言って彼はすぐに血を吸うことはなかった。
    彼なりに子供の僕を気遣っていたのかもしれない。
    彼は口は悪いが妙に遠慮する癖があるのだ。


    それから僕は転入したての学校に通うようになると
    エドワードさんは僕に宿題を教えてくれるようになった。
    僕は一人っ子なのだが上に兄ができたかのようで学校が終わると
    すぐに家に帰ってエドワードさんの元へ駆けつけていた。

    吸血鬼であるエドワードさんは日中は棺の中で眠っており、
    必然的に僕が学校から帰る頃合いに起こすような習慣がついていた。
    なんでも棺から自分で出ることはできないらしく
    僕が蓋を開けなければ目も覚めないらしいのだ。

    棺を開けるといつも死んだように眠っているエドワードさんを
    僕は起きるまでじっと見ていた。

    顔の色は異様なまでの白、横に流した金の髪に隠れている尖った耳は
    人間のものではなかった。
    数秒後整った唇が動き、胸に空気が入る。
    そして重そうに瞼が上がる。
    この瞬間を見てやっと安心できた。

    だが今日はその白い顔が青白く、眉は苦しそうに歪んでいた。
    瞼はピクピクと痙攣して、彼は人間ではないにしろ体調が優れていない事は
    すぐにわかった。

    「エドワードさん…?具合悪いんですか?」

    「う…ん…?アルフォンスか……」


    僕の声に反応したエドワードさんはゆっくりと体を起こし返事をする。


    「血、足りてないんじゃないですか?」

    「……」

    きっと図星だった。
    前にいっていたお腹がいっぱいと言うのが嘘であると
    やっと僕は気がつく事ができた。
    彼は僕の言いつけを守り外にも出ず、かと言って僕に頼ることもしないで
    断食していたようだった。

    「このままじゃエドワードさん死んじゃいますよ…!
    僕の血あげますから飲んでください!」

    「ダメだ…」

    「エドワードさん!」

    僕は勢いに任せて大声を上げると
    エドワードさんは瞳を小さくさせたかと思うと
    項垂れてしまった。
    下がった頭から流れ落ちる金の髪に隠れて苦しそうな顔が見える。

    「このままにしてくれ…頼む…」

    押し殺した声が地下の一室にこだました。

    「ダメだよ」

    幼い僕は苦しそうにしているエドワードさんを
    ただ助けたかった。
    俯く顔を両手で掴むと無理やり自分の口を押し付けた。

    再び金の瞳がこちらを見る。
    抵抗を示す手足も僕のもので押し付け、体を倒した。
    不意をつかれたエドワードさんは倒れ込む事しかできなかった。

    相当お腹が減っていたのかはじめは抵抗していたものの
    自ら血を探して僕の口から首に移動し、吸い上げる。
    僕は痛みを感じながらも彼の表情に釘を刺されていた。
    いつ見ても白い顔は今では頬が紅潮しており時折鼻から高い音を出していた。

    満足行った頃には血だらけだった僕の首元は綺麗に舐め取られ
    エドワードさんは自身の口元も器用にペロリと舌で拭き取っていた。
    その仕草はエドワードさんの態度とは矛盾して一滴も逃すまいとする
    野生的なものだった。

    「……バカ野郎」

    「ごめんなさい、でもお腹いっぱいになりましたよね」

    返事は帰っては来なかった。
    余計な真似をしやがって、と言いたそうな顔を無視して
    僕は反対に満足そうな顔をして見せた。

    そうしてまたこのような事が起こらないように
    僕は無理やり血を与え続け、1年目でやっと合意の上で
    血を飲ませられるようになった。

    その頃には僕は11歳を向かえ、身長もエドワードさんと然程変わらない高さになっていた。

    「随分と伸びたな、アルフォンス」

    「ええ、もう少しできっとエドワードさんを抜かせますね」

    エドワードさんは知的で僕より遥かに年長だが身長は控えめだった。
    祖父と仲が良かったみたいだしおそらく実年齢も100を超えているのではないだろうか。

    「………」

    無言でこちらを見つめるエドワードさんには悪いが伸び盛りの僕は
    今までエドワードさんを見上げてばかりだったのが今度は僕と目線が合うこと、
    エドワードさんとは違いこれからもどんどん大きくなるよな気がしてささやかな優越感を味わっていた。

    「なぁアルフォンス…」

    空想から目が覚めるとエドワードさんが申し訳なさそうにこちらを呼んでいた。

    「どうしたんですか?」

    「いや……」

    この歯切れの悪そうなのはよく見かけるのだ。
    こちらに問いかけては何か渋って言葉を発さないエドワードさん。
    しつこく聞いても聞き出せないので諦めていた。

    「…オレと一緒に生きてくれないか?」

    「え?」

    いつものように聞きたくても流させれてしまう
    言葉を聞いて固まってしまった。

    「オレはこの先もずっとアルフォンスと一緒にいたいんだ」

    一つ一つの単語が耳に重く届く。
    その意味は永遠の時を指していた。
    そして彼と初めて会ったあの日を思い出す。

    “賢者の石”

    僕はあれからも祖父の部屋の本を読むことをやめていなかった。
    置いてある本はどれも根本には賢者の石がひっそりと関わっており祖父がどれだけ
    熱心に研究していたかを物語っていた。
    祖父もきっと人間とは違う時間間感覚のエドワードさんと共に生きていたかったのだろう。

    並行に近い目線からは欲しいものをねだる子供のような瞳が見える。

    「いいですよ、僕だってエドワードさんと一緒にいたいです」

    僕は宥めるようにその瞳を合わせ、答えた。






    それからまた少し時間が経つ、僕は17になる年だ。
    もうすっかり身長も伸びて、今ではエドワードさんの頭が僕の胸あたりにくるまで大きくなった。

    僕たちは12歳になる頃に賢者の石を探す旅に出た。
    そうしてやっと祖父の苦労を実感することになった。
    情報の少ない状態であるのかないのかわからないものを探しているのだから
    当たり前なのだが、こうしている間にも僕は歳をとっていってしまう。

    エドワードさんが大きくなっていく僕を見て無言で見つめてくる意味が最近になって
    ようやくわかったのだ。

    彼は僕が年老いていくのが、また1人取り残されてしまうのが怖いのだ。
    彼の寂しさは僕の生きた年月では測りきれないが
    僕を祖父と勘違いしていた時のことを思い出すと居た堪れなくなる。

    祖父はまだ僕と歳の変わらない頃に出会い別れたのだろう。
    逆算しても1人の人生分くらい棺で眠って
    目が覚めたら仲の良かった祖父はいなくなっている絶望感。

    僕はそんな思いをさせてしまいたくはない。
    彼の悲しい顔より笑ったり怒ったりする表情がもっと見たいのだ。

    それに
    彼に友情や家族愛とは別の感情を抱いてしまっている僕もいる。

    彼が食事をするときは必ず僕の血を飲ませている。
    その時の表情を誰にも見せたくないし、
    彼の中に入るのは僕のものだけであって欲しいのだ。
    そして僕に何かあった後、僕の血を忘れさせないように。

    エドワードさんの体は僕の血で作られていることへの独占欲は日を追うごとに増していっていた。
    僕が年頃だからと言うのも関係しているかもしれない。

    あとは焦りだった。
    僕の体はエドワードさんが思っているよりも早く期限が来てしまいそうだったのだ。

    「ガハッ……グッ……」

    元々体は強い方ではなかったがまさか祖父と同じ病を今発症してしまうとは
    思っても見なかった。
    これでは無責任に約束してしまったことになってしまう。

    早く賢者の石を見つけなくてはいけない。
    日中外に出れないエドワードさんを入れた大きめのトランクの持ち手に力が加わる。




    陽が落ちた頃トランクを開けると何も知らないエドワードさんが大きな欠伸をする。
    そして彼の朝食が始まった。

    「……っはぁ…ん」

    首元で聞こえるエドワードさんの声、重なり合う体から伝わる低い体温。
    たまらなかった。

    寝起きのエドワードさんには悪いが、日中歩き続けて疲れていた僕は肩に掛かっていた彼の腕を引き剥がすと冷たい地べたにひっくり返した。

    「あ、悪い…疲れてたよな?」

    「いえ…あの…いいですよね」

    「?何が?」

    いまだに要領の得ない姿にイラつきを覚え
    服の下に手を入れ白い腹に触れた。
    そしてゆっくりと意図が伝わるように手を下へと持っていく。

    エドワードさんに覆い被さるようにしていた僕の中心に熱が集まるのを感じ
    彼もやっと察したようで困ったような表情を見せた。

    何も言わないエドワードさんの体にまとう服を剥いて、現れた白を唇で味わう。


    「いいですか…」

    「お前こそいいのかよ、疲れてるんだろ?
    夜はオレに任せて…」

    「いいですか?」

    「…わかったよ、その代わりオレはお前の血が欲しい。」

    そしてまた許可を得るためにエドワードさんに問いかける。
    雰囲気もへったくれも無いがお互い満足いくならいいみたいなので
    それに甘えさせてもらうことにする。
    深く考えるとダメになるから。

    彼が僕の血を吸いやすいよう正面に向き合い、
    僕の上に彼が乗る形で行為を始める。

    「ん…っんっ…はぁ…!ぐ…」

    「…っう…ふ……」

    揺さぶられながらの吸血は大変みたいで声をあげてみては
    牙を刺し直すのを繰り返していた。
    耳元では血を吸う音と肌の重なる音、離れていく音、摩擦の音、甘い声、吐息
    何もかも騒々しいがその音が頭を支配して今を感じていた。

    「あ……も…全然飲めねぇ…!ん…!」

    「はぁッ…はぁ…!」

    口では僕の血を、下では僕の熱を、エドワードさんの体は今僕のもので満たされている。

    「はぁッ…かハッ…はっ…」

    僕の体調はどうにもよく無いみたいで激しい動きに耐えられなくなったのか
    急にいつもの症状が現れる前兆を悟った。

    「あぐっ…んぁ?…」

    急いで首元に牙を立てているエドワードさんの頭を押さえ、
    のぼせ上がった彼の唇に僕の唇を合わせる。

    「んぐっ!?」

    「ガハァッ…!ゴホッ……っ!!!」

    「ンぁ!?!?」

    タイミングよく喀血と合わさり、絶頂する。
    驚くエドワードさんを横にさらに血を吐いく。
    彼は心配よりも先に僕の吐いた血を僕の口元から頂ていく。

    「……っ!?アルフォンス…!?…ひぃあぁああ!?」

    やっと気がついた様子のエドワードさんにこちらへ気が散らないようにゆっくりと
    奥へと進めると僕の意図通りに意識が行為に戻るのを見る。

    彼を地面に押し倒すと今度は僕の右前腕を彼に与え、噛ませた。
    頭が動かないよう固定すると低い体制でまた彼の最奥を今度は激しく刺す。

    「んぅ…!ぅ、ぅう…!ふ〜…!んぅ…!」

    腕で頭を押さえつけられているエドワードさんは涙を浮かべた苦しいそうな顔で
    鼻から細かく講義の音を立てている。

    そしてもう血なんて吸わせる体制ではない、いわば反則的な体位を無理やり作り、
    エドワードさんを後ろに向かせると、彼の腰をこちらに引きながら何度も腰を振った。




    いつもなら傷口を綺麗にしてくれるエドワードさんだが
    今日はそうもいかなかったらしく綺麗にしてくれる前に眠ってしまった。
    彼からしたら二度寝だがそんな事は知ったことではなかった。

    エドワードさんから抜かれた血と吐いた血でフラフラする。

    冷たくなった指先で彼の顔を撫でる。
    彼の温度に指先が温まるのを感じる。
    僕は彼との約束を守れそうもない現実を嫌でも感じなくてはならなかった。

    彼が眠るトランクを閉めると毛布に包まり冷えた体を温めた。



    次にトランクを開ける時僕は彼に告げなければいけなかった。

    「…エドワードさんいい情報が入りました。
    賢者の石によく似た石がここから近い場所で見つかったんです!
    でも建物の影が少ない街でエドワードさんはこのままトランクの中で
    待っていて欲しいんです」

    僕は言えなかった。
    きっと祖父も同じ罪を犯したのだろう。

    「そうか…!やっと…やっとお前と一緒に生きられるんだな…」

    「…はい」

    「お願いだぞ…」

    もう裏切ってくれるなよと釘を刺されたようだった。
    この扉を閉めてしまったら彼が次に目が覚めるのは一体いつになるだろうか。

    少なくとも僕は会えないだろうな。

    もう二度と見る事ができないであろう彼の顔を目に焼き付ける。

    「…アルフォンス、ありがとう。オレのために頑張ってくれて」

    「…エドワードさん?」

    エドワードさんは喜んでいた顔を僕の瞳を見るなり少し眉を動かして別の表情を作る。

    彼には無責任だが希望を持っていて欲しかった。
    だが僕はその先をもう知っているのだ、彼がその後傷つくことも知っておきながら
    繰り返そうとしている。
    僕の心を見透かされてはどうすればいいかわからなくなる。

    「僕はエドワードさんが大好きです。
    だから…待っていてください…」

    「おやすみ、アルフォンス…」

    「おやすみなさい、エドワードさん」

    そういうとエドワードさんは自らトランクの扉を閉めてしまった。
    僕はその場でうずくまる事しかできなかった。
















    エドワードが次に目を覚ますと見知った天井だった。

    「ん……誰だ…?」

    「エドワードさんおはようございます」

    「アルフォンス…?アルフォンス…なのか…?」

    声をかけてきたのは薄い金の髪の青い瞳をした男だった。
    エドワードはよく似た人物を知っていた。

    「はい、アルフォンス・ハイデリヒですよ」

    「ひ、ひ孫とか…?」

    「いえ、あのアルフォンスです」

    目の前にはにこやかに笑うアルフォンスがこちらを見つめていた。

    「僕は今23歳になりました、
    結局あの噂はデマで賢者の石はいまだに見つかってないんです」

    「そっか…」

    「でも、エドワードさん。
    僕はこうして生きています。
    エドワードさんにとっては厳しいことかも知れませんが
    こうして歳をとる僕と過ごしてはくれませんか?」

    よく見ると最後に見た時よりまた少し大きくなったように見える。
    そして顔色がいいことに目がいく。

    「実はエドワードさんが眠っている間に病気の治療をして
    随分良くなったんです。」


    年老いていくアルフォンスを見ているのは辛いだろう。
    だが限られた時間をアルフォンスと一緒に
    生きる事は苦しいだけではないのはもう十分知っている。
    そうしたらそれでもいいのかも知れない。

    もう十分彼を自分に付き合わせてしまったのだから今度は
    自分が彼のために彼の人生を見届けるのだ。
    いわば彼とこの長い人生を分け合うのだ。

    オレはアルフォンスの微笑む顔に目を合わせると
    こちらも同様に答えた。





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