楽園(仮タイトル) あれは、冬の雪が降り始めた頃だった。
庭で泣いている花道を抱いて宥める三井を、流川は廊下から眺めていた。そこに木暮が自分の着ていたブランケットを花道にそっと掛ける。
三井は花道が落ち着く様にとゆらゆら揺れながら一定のリズムで優しく背中を撫でていて、その姿を見て流川は縮めることのできない年齢の差を悔やんでいた。
羨ましい、自分も早く泣いている花道をあんな風に宥めて、大丈夫だと言ってやりたい。
三井の手と己の手を見て比べる。己の手の小ささに、敵うわけもないとため息を吐き、流川はもう一度花道の方へと目をやる。
俺も、早く、早く大人になりたい。
そしたら花道を「大丈夫だ。」と抱きしめることができるのに。
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