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    おわり

    @owari33_fin

    アズリド/フロリド同軸🆚
    ここに上げたお話は、大幅に加筆してpixivに置いてます→pixiv https://www.pixiv.net/users/31202925

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    ミーティア3️⃣ Az-6-2 『求婚』

     リドルが作った家庭的な味のミネストローネを食べて終えて、泣き出した赤子にリドルはすぐさま親の顔になって、まだ小さな赤子二人を抱きかかえてリビング脇にある、リドルの部屋に行くと言った。
     マグカップに注がれた、リドルと僕の食後のお茶をトレーに乗せて部屋に入れば、リドルの腕の中、隣で兄弟が大声で泣くのも気に留めずすやすやと眠る、サミュエルと名付けられたフロイドとの子をベッドに寝かせ、自分のベッドに腰掛けたリドルは、手慣れた手つきでワンピースのフロントボタンとブラジャーのホックを外して、僕の前だというのに真っ白い胸をさらけ出し、僕との子……アスターに母乳を与えた。
     急に見てしまった女性体のリドルの胸に慌てて視線をそらすと、リドルがクスリと小さく笑った声が聞こえた。
    「アスターはね、すぐにお腹が減るのか、サミュエルよりたくさんミルクを欲しがるんだ。片やサミュエルの方は、気分屋で規定の量を飲む前に飲むのを止めてしまうことが多くてね……本当に、キミたちによく似てるよ」
     その言い方は、まるで僕が食い意地が張っているようじゃないかと抗議すれば、かち合った視線にリドルが笑っている。からかわれた事に気づいて、頬が熱を持つ。どうにも、このリドルの前だと調子が狂ってしまう。
     十五分もかけてリドルの母乳を飲んだ赤子は、リドルに優しく背を叩かれて「けふ」と空気を吐き出した。とろりとした目は眠気を訴えていて、リドルは子供をベビーベッドに寝かせて、覚めたお茶に気づき「淹れなおそうか」と部屋をでようとした。
    「リドルさん、待って下さい」
     引っ張れば、記憶よりも軽い身体をベッドの上に転がし、今からする話しから逃げられないように逃げ場を奪えば、リドルが眉をしかめた。
    「さすがに、子供達の前で、あんな事は出来ないよ」
     あんな事と言われて、あの夜のセックスを思い出し、すぐさま否定する。
    「僕との子供が産まれたら、結婚という約束は覚えていますか?」
     リドルにそう告げれば、まさかとでも言いたげな顔をされた。リドルの中で、僕との子供が産まれても、同時にフロイドとの子が産まれたから、結婚という契約は無効になっていたようだ。
     そして、契約上問題ないと言えば、リドルは昔のような憤怒を滲ませ声を荒げ、僕にリドルとフロイドの子を愛せるのかと、できるのかと問われた。
     僕からしたら、文字だけで義父から送られてくるリドルの腹の中の子の成長記録や、現実産まれた子供を見ても自分がこの子の父親なんだという自覚なんて全く無い。今こうやって、自分の容姿に似た子供に、リドルが愛おしそうに見つめて乳をやり、これこれこういった性格だと話されても、「そうですか」なんて他人事だ。そりゃ、僕だってこの瞬間すぐさま父親になれるなら、望むリドルのために、リドルの望む子供の父親になりたかった。
     でも無理だ。リドルの未来を奪った子供なんて、例え自分とリドルの子であっても、そう簡単に愛せない。
     しかし同時に、リドルが必死に、命をかけて産んだ子なら、血なんか関係なく、リドルごと愛したいと、そう思う気持ちもまた真実だ。
     どうか、僕のこの思いがリドルに通じますようにと、僕はポケットから取り出したリングケースを開け、リドルの前で片膝をつき、差し出した。
    「僕と結婚してください。そして、僕にあなたの隣を生涯歩む事を許可して欲しい」
     全て契約で、そこにリドルの愛はなくても良い、ただ夫としてリドルの隣に生涯いることを許して欲しいと狡さも含んだ懇願をすれば、リドルはまるで白旗でも上げるように、小さく頷いた。
    「本当に狡いねキミは……わかったよ、心の半分はあげられなくても、もう半分でキミを愛せるように、ボクも努力する……キミのそのプロポーズ、受け入れるよ」
     その言葉に、リドルから僕への愛は一欠片もないことは分かっていた。それでも、リドルに許された事がただ嬉しくて、僕はリドルを高く抱き上げ、その場をくるりと回って子供の様にはしゃいでしまった。
     このときの僕は、まだ本当の意味で、父親違いの双子を産んだリドルの夫になるという事の全てを理解できていなかった。


     * * *

    「アズール、準備は終ましたか?」
     オクタヴィネル寮の自室。僕は休み明けから始まるインターンに向け、必要な荷物をトランクに詰め、不要なものは永久防水の魔法をかけて珊瑚の海の実家に送る手はずを整えていた。
     インターン先からは、トランク三つほどの荷物まで、と制限をかけられてしまったので、一番大きいサイズのトランク三つ分と解釈して、ギリギリまで荷物を詰め込んだ。
    「何しに来たんだ、お前のほうが私物が多いから大変だろう?」
     ジェイドの持ち物は、フロイドが転寮してからというもの恐ろしく物が増え、三年になって移った一人部屋に物が入り切らず他の部屋まで溢れ、他の寮生から苦情が上がるほどだった。
     インターンに出向き、普段寮の部屋を使わない四年生は、帰ってきたときだけゲストルームのような部屋を使う。だから基本的に、私物は全て撤去しなければならないが、三年間溜め込んだ荷物は簡単に処理できず、僕もいくつかは陽光の街にあるトランクルームを借りて、そこに移した荷物もあった。
    「そういえば、フロイドから聞いたんですが、リドルさんの部屋、今年もそのままにするようですよ。毎日当番制で掃除までして、リドルさんが戻ってくるのを待っているなんて、ハーツラビュルの皆さんは、本当に、大層殊勝な心掛けですね」
     いつもの笑顔で微笑むジェイドから、底意地の悪さを感じる。こいつは一体、どこまで感づいているのか。
     制服のシャツの下、鎖に通したリドルと対の指輪。胸元で揺れるその銀色の輪と、未だリドルの帰還を願い、ハーツラビュルで待つフロイドが頭をよぎる。
     僕のしていることは、二人の運命に割って入り引き裂いたヴィランそのものだ。リドルの気持ちを考えれば、身を引くことこそ正しかったのかもしれない。けれど僕は、そこまでしてリドルが欲しかった。
    「ジェイド、おまえが空き部屋のバスルームで、原木から茸を栽培しているという報告が上がってきていますが……それももちろんすでに処分済みですよね?」
     僕がこう言えば、ジェイドがしまったとばかりに明後日の方向を向く。
    「そうそう、ヴィルさんから例の化粧水の発注が入っていましてね……手頃なウツボが一匹、ちょうど欲しかったのですが……もし、寮内に私物が一つでも残っていたら、どうなるか分かってるんだろうな?」
     ニヤリと笑ってやれば、あの激痛を思い出したジェイドが流石に慌てふためいて「僕もそろそろ御暇しますね」と部屋を去ろうとして、振り返る。
    「アズールの研修先、ご武運をお祈りしています」
    「思ってもないことを言うのはやめろ」
     ふふふと笑い、部屋をあとにしたジェイドに向かって舌打ちする。アレは絶対に面白がっている。
     大きくため息を付き、気持ちを入れ替える。
     リドルとは、インターンも含め四年と言った。この対価さえ支払い終えれば、リドルと一緒になれる。一日でも早く成果を出さなければと、僕は服の上から、胸元の指輪をひと撫でした。
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