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    @owari33_fin

    基本的にアズリド/フロリド同軸🆚
    ここに上げたお話は、大幅に加筆してpixivに置いてます→pixiv https://www.pixiv.net/users/31202925

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    ミーティア3️⃣後編-17 『準備②』

     土曜日の朝。週一回の朝飯はジェイドと一緒に食って、一週間にあった事を話す事になってる。これは転寮した後、オレが何やってんのか親父に報告するため、親父からちょっとした多めのお小遣いを貰ったジェイドがオレに提案してきた。
     親父は、オレとジェイドを甘やかしたりしないから、オレらは昔から親父の手伝いをする事で小遣いを貰えてた。それはファミリーの仕事だったり、ちょっとした情報提供だったりと多岐に渡り、親父が有用だと思えばそれに見合った小遣いがもらえる。
     そしてジェイドは、今度はオレを売って、少し前に前から欲しかった登山用の新しいシューズを購入したらしい。
    「次は、これが欲しいんですよね」とかオレに分厚いカタログを見せながら、分かりやすく付箋までつけた商品をいくつか見せて「で、フロイド。ここ最近はどうお過ごしでしたか?」とか聞いてくんの。
    「親父にオレの情報売る気満々じゃん」
     オレが分厚い卵サンドの三つ目に齧り付くと、ジェイドは吸い込む様にキノコたっぷり入ったリゾットと、これもキノコが山ほど入ったミートパスタをフォークにあり得ない巻き付け方して、デカい塊を口の中に収めてた。どんなけ朝から食うんだよ。
    「え〜、別に『なんでもない日』のパーティーの準備しかしてねーし」
     オレが四つ目の卵サンドに手を伸ばして齧り付けば、ジェイドは口モゴモゴさせながらなんか喋ってる。聞こえねぇから飲み込んでから喋れよ。
     オレがオクタヴィネルから転寮しても、ジェイドのマイペースさは変わらないようで、アズール手ぇ焼いてんだろうなぁ〜みたいなのが安易に想像できた。
     オレがオクタヴィネル生じゃなくなった時から、アズールはオレに接触しなくなった。まぁ、元から悪巧みで繋がってただけだし、寮も違えばクラスも部活も違うアズールとは、合同授業でたまに一緒になったからといって、特に話す事もねぇから会話らしい会話も特になかった。
     実際の所、アズールはオレに構うヒマが無いぐらい忙しいみたいだ。金魚ちゃんが学校からいなくなってすぐのテスト、そこで初めてアズールが全科目一位になって、金魚ちゃんの名前のあった場所を自分の名前で埋めてた。
     今までのアズールの成績は、忙しくて余裕のない時なら十位内ギリギリ。余裕がある時は金魚ちゃんを押し退けて首席になるべく勉強して、いっつも片手で数えられるぐらいの点が足りず次席に甘んじていた。
     そうやって二位から十位をフラフラしてたアズールが、モストロ・ラウンジの支配人にオクタヴィネル寮長の仕事をこなしながら、死ぬほど勉強して首席もキープして、更には四年から向かう研修先の勉強もしてるらしい。これって過労で死ぬんじゃねーの?
     まぁ、アズールは重い体引きずってるから人よりスタミナの減りは早いけど、多分ライフポイントはバカほど高い。根性だってインテリ気取ってるくせに、昔のド根性スポーツ漫画並にしつこいし、こうと決めたらオレが逆立ちしてもマネ出来ねぇ様な執着をみせるアズールの事だ、ライフポイントギリギリでも生にしがみついて簡単に死ぬことはないだろ。
     オレがそんなことぼんやり考えてたら、ジェイドが空になったパスタの皿を脇に置いて、新しい皿に手を伸ばした。次はキノコがたっぷり乗ったガーリックチーズトーストだ。コイツ、今日はモストロ・ラウンジのシフト入ってるとか言ってたくせに、ホール出るのにくせぇキノコどころかニンニクまで食うのかよ。
     まぁ別にオレかんけーねぇからいいけど。
    「フロイドが『なんでもない日』のパーティーの準備で薔薇を塗るなんて、リドルさんが聞いたら驚いて声も出ないかもしれませんね」
     あ〜……それは、ここ最近オレの中に出てくるイマジナリー金魚ちゃんも言ってた。「キミが薔薇を塗るなんて世も末だよ」って。この金魚ちゃんのことは、ジェイドに言ったらぜってぇバカにするって分かってるから「ウルセェ」ってだけ言っておいた。
    「まぁ、金魚ちゃんに会えた時に、良い話題になると思ってさ……薔薇も赤く塗ってやったし、飯食ったらこの後オーブンに仕込んできた生ケーキに飾り付けすんだよ。青いケーキ作って、ウミガメくんが栽培してる白いちごを薔薇の形にカットして、ケーキの上に飾んの」
    「それは、アズールが聞いたら喜んでモストロ・ラウンジのメニューに加えそうですね」
    「ぜってぇヤダ! あんなダルい作業延々とやってらんねぇって」
     ふと時計を見れば、食事が終わってもうすぐ十五分経つ。いけねぇって、角砂糖二つ入れたレモンティーを胃に流し込む姿を見て、驚いたジェイドが「フロイドも、すっかりハーツラビュル寮生ですね」と深みを持たせて笑ってた。
     そのジェイドの顔すげぇムカつくから、出来れば今回の報告書は大した旨みもないって、親父に小遣い減らされたらいいのに。
     そんでまぁ、ジェイドにまた来週って言って寮に戻れば、ウミガメくんがオーブンからふっくらしたスポンジケーキを取り出してくれてた。
    「フロイド戻ったか」って、デカイ手でチマチマとイチゴタルト用のイチゴをスライスしてる。それを横目に、オレも生ケーキの仕上げをするかと、用意してたバタフライピーパウダーを取り出し、作った生クリームに混ぜて青いクリームを作る。思った以上に発色の良く、あの時の青いケーキみたいな濃い青が作れた、それをケーキ全体に塗って、余った分は絞り袋に詰めてケーキの上に絞って薔薇の蔓を描く。
    「上手いもんだなぁ」って感心するウミガメくんが、手を止めてオレの作るケーキを見てた。まだまだこんなもんじゃねぇって、綺麗にイチゴの先端にナイフで切れ込みを入れて薔薇を作って、最後はアザランで飾り付けてはい終わり!
    「うわぁ〜! フロイドくんのケーキも凄いねぇ!!」
     映える〜! って、いつの間にか現れたハナダイくんがウミガメくんのケーキやタルトを写真に取って、オレのケーキと一緒にマジカメにアップしてた。
    「もしかしたら、リドルくんが見てくれるかもしれないし」
     そう言って以前よりも投稿される量の多くなったハナダイくんのマジカメアカウント……金魚ちゃんの事だから、マジカメなんて見たりなんてしないだろうけど、それでもなんとなく、もしかしたらを想像してして。ついでに、脳内のイマジナリー金魚ちゃんもケーキやタルトの甘い写真を見ると喜ぶのもあって、オレはハナダイくんにアカウント教えてって聞いてみた。
     そしたらハナダイくんは、特大級の良い笑顔して、オレにアカウント教えたついでに、一緒にオレのアカウントまでフォローしてた。

    「フロイド先輩! 最後の見回り行きますよ」
     ケーキも作り終えて、後は会場に持ってくだけ。その前に、オレの本来の担当になってる薔薇を塗る作業の最後の見回りだってカニちゃんがサバちゃんと一緒にオレの事呼びに来た。
     二人はパーティー用のケーキやタルト見て、旨そうってはしゃいでる。今にもつまみ食いぐらいしそうな二人に、ウミガメくんが「タルトの一ピース目をサーブしてからな」って念押したら、二人はその一ピース目を受け取る相手を思い出して手を引っ込めてた。
    「じゃあ、見回り行ってくんねぇ」
     二人にじゃあ後でねって手を振って、キッチンを後にする。
     カニちゃんとサバちゃんは、道中コント初めて、コイツらほっとくと真面目で馬鹿真っ直ぐのサバちゃんをカニちゃんがイジってすぐケンカみたいになんの。「お前ら鬱陶しい」って言えば、以前はそれ聞いて更にギャイギャイ、オレまで巻き込んで言い合いしてたのに、今ではオレの言葉をスルーする様になった。
     こりゃ一度、デカい灸でも据えてやろうかなんて考えてたら、カニちゃんが薔薇の迷路の入り口で急に立ち止まった。サバちゃんが、そのカニちゃんの後頭部にぶつかって文句言ってたけど、同じく前を見たら、カニちゃんみたいに固まってしまった。
     どうしたの? って、二人の様子のおかしさに、オレもすぐさま入り口から奥を覗けば、あれだけ時間かけて色変え魔法やペンキで丁寧に塗った薔薇が、メチャクチャな色で塗りつぶされて、芝生はいくつものペンキ缶をぶちまけたみたく汚れていた。
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