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    おわり

    @owari33_fin

    基本的にアズリド/フロリド同軸🆚
    ここに上げたお話は、大幅に加筆してpixivに置いてます→pixiv https://www.pixiv.net/users/31202925

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    ミーティア3️⃣後編-19 『決着』

    「オマエら雑魚すぎィ〜六人もいてオレに全く攻撃届いてねーじゃん」
     残り三人、その中のひとりはあのボスヅラしたトランプ兵だ。ペン構えたまま膠着こうちゃく状態、オレの事睨みながらどうにかチャンスを伺ってるコイツらを「ザーコ♡ザーコ♡」とバカにして煽ってやれば。特にオレの事嫌ってるボズヅラしたトランプ兵が「スート無しのくせにッ!!!」とオレに向かって考えなしに魔法で雷落とした。
     ドンッ! と大きな音に、肺がグッと重くなる。直撃でなくとも肌がビリビリするその二発目を、巻きつく尾バインド-ザ-ハートで残り二人のトランプ兵に弾き飛ばせば。だッせぇの、避けることもできないまま、感電して床を舐めた。
    「あはっ! これで残りはオマエひとりだけど、ど〜すんの?」
     何にもできないまま追い詰められたそいつは、仲間がいなくなったら途端にボスヅラも出来なくなって悔しそうにオレを睨みつける。
    「グッ……クソクソ!! なんでお前なんだよ!!! 俺だってローズハートがああなった時に部屋の前まで行ったのに、アイツはドアに魔法かけて俺が入れないようにして、俺の事拒絶しやがった。ずっと……ずっと一年の頃から、俺はあいつを気にかけてやってたのに!! なんで俺じゃダメなんだよ!!?」
    「は? オマエ何言ってんの? オマエさぁ……自分が金魚ちゃんに何やったか、まさか覚えてねーの? エロコラ作るだけじゃ飽き足らず、金魚ちゃんの教科書やノートを水の中に捨てたりしてたろ……金魚ちゃんがそーいうの本当に気にしねーと思ってんの? なのに金魚ちゃんからは好きになってほしいって虫良すぎんだろ」
     思い出すと、胸の中に殺意が込み上げた。コイツが一年の頃、金魚ちゃんへした嫌がらせはそれなりに酷かった。学園内の目立たない場所にある水場に捨ててあった自分の教科書を、金魚ちゃんがどんな気持ちで回収したかわかんねーんだろうか?
    「あの時の事は……」
    「あはっ! あの時の金魚ちゃんソッコーでブチギレてたし、オマエも首刎ねられてもう解決済みって言いたいんだろうけどさ……本当に傷ついてないって言える? オマエはさぁ、さっきからエレメンタリースクールの稚魚みたいに、自分の一方的な気持ちばっかりで、金魚ちゃんが水の中から自分の教科書やノートを拾ってる時どんな気持ちだったかわっかんねーんだろ?」
     そうだ。あの時、本当にたまたま偶然見かけた、水の中に佇んで水含んでふやけた教科書やノートを持ったブチギレる前の金魚ちゃんの後ろ姿は、たしかに一瞬深く傷ついてた。でもそれ以上に、寮長として自分の寮生を正さなきゃならない方にすぐさま舵を切って、気持ちを切り替えてた。
    「オマエらほんと、バカすぎるわ」
    「お前が……お前がそれをいうのかよ!? ローズハートをレイプしたお前が、俺らに上から説教なんてどのツラ下げて言ってんだ!!!」
    「んなこと……オマエに言われる前に、オレが一番知ってんだよ」
     そうだ……オレはずっとオレの好き勝手やって、その時のオレの気分ばっかり優先してた。オレのしたことで金魚ちゃんが喜んだり悲しんだり怒ったりするかなんてほとんど頭になくて。好き勝手楽しく金魚ちゃんを振り回してただけだった。オレのそんな身勝手な押し付けでさえ、金魚ちゃんは真正面から向き合ってくれてた。
    (あ、オレ。なんでコイツがオレのこと目の敵にしてるのか分かった……コイツ、オレと同じなんだ)
     金魚ちゃんに向けた一方的な好意、それが叶わなくて暴れて、金魚ちゃんを傷つけた。自分のした事が許せない……同時にそんな事をするやつが自分以外にいた事も許せない、これってただの同族嫌悪ってやつじゃん。
    「俺は、お前を絶対にハーツラビュル寮生なんておもてやるもんか!!! 他のやつら全員がお前を迎え入れても、俺だけは、俺だけは絶対にお前を認めない!!!」
     そいつは、オレの胸倉掴んで、悔し泣きしながら頬に拳を叩き込んできた。アズールどころかジェイドと比べてもヌルいパンチは、殴られた顔よりなんか胸が痛かった。
     だけど、オレだってここで負ける気はない。オレはここにいることをコイツに認めさせなきゃなんねぇ。
    「オマエの気持ちなんて知るかよ! オレはここにいる。オレがそう決めたんだよ!!」
     そうだ、金魚ちゃんとの約束以上に、オレは次に金魚ちゃんに次会った時、金魚ちゃんに好きになってもらえるオレでなきゃならない。そのためには絶対、オレは今、この場所にしがみついてでもハーツラビュルにいなきゃならない。
     そう叫べば、そいつは「そんな事俺には関係ない!!」って再度、オレに殴りかかった。もうそっからは、思ってた相手のムカつくところを言い合いながらの殴り合い。一〇分は殴り合って、オレより弱いくせにそいつは立ち上がって何度もオレをぶん殴ろうとして、オレはそれをサラリと避けてカウンター狙ってコイツに拳を叩き込む。もうフラフラで、それでも立ち上がり最後の一発、オレの頬をコイツの拳がかすって、そのまま倒れ込んだ。
    「なんで……本気で好きだったんだ……なのに、ローズハート……う゛ぅ……なんで、いなくなって……」
     もう完全に戦意を喪失したそいつは、談話室のカーペットの上、ボロボロ涙こぼして、あの時のオレみたいに泣いてた。
    「これで決着が付いたな……勝者はフロイドだ! これ以降は、フロイドに対しての嫌がらせを一切止めるように」
     いいな? って、オレに嫌がらせしてた連中に、ウミガメくんは念を押しして確認した。連中は「はい、副寮長」って、本心から納得はしてないけど、強者が正しいナイトレイブンカレッジでは逆らうことなんてできず、唇噛んで受け入れた。
    「それじゃあ、時間も押してる。今すぐ全員で〝なんでもない日のパーティー〟の準備再開だ!」
     号令とともに、みんなが持ち場に帰っていく。オレはケガなんてほとんどなかったけど、顔ボッコボコになったコイツはウミガメくんに言われて仲間に肩貸されながら保健室に行くみたいだ。で、部屋を出る直前、すんげぇ小声でオレに「悪かったな」って謝った。
    「え〜なにそれ、謝んならもっと声出せって」なんて言えば、そいつはキレながら「悪かったな!!!」ってでかい声出して、肩貸してくれてた奴らを振り払ってドスドス足鳴らしながら談話室出てった。その後は、残り五人も口々にオレに謝って、コイツの後を追った。
     で、オレは、ヨカッタヨカッタって言ってるカニちゃんと、さっきの喧嘩を拳と拳で語り合ったみたいに美化してるサバちゃんの首根っこを掴む。
    「オラ! お前らももっかい薔薇塗りに行くぞ」って、オレが二人を引きずって薔薇の迷路に向かおうとすれば、「先輩くるし〜!」「自分で歩けますって!!」ってバタバタもがく二人見て、苦笑いするウミガメくんとハナダイくん。
    「準備が先に終わったら、直ぐに手伝いに行くよ!」って言ったから「分かった待ってる」ってオレは、緩みそうになる頬をみんなに気づかれないように、唇の端を持ち上げた。
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