無題ふと、目が覚めた。
小窓から差し込む光は頭を覚醒させる程明るい訳でもなく、時計を見ずとも早朝だとわかるような淡く儚い物だった。長期の任務をこなし力を最後の1%まで使い果たした体は少々悲鳴を上げていたが、コルンはこの時間を好んでいた。誰に急かされる訳でもないこの時間は、誰に侵される訳でもないこの空間はどんな娯楽よりも心を落ち着かせる。稀に聞こえてくる小鳥の囀りはどんな音楽の巨匠だって唸らせてしまうだろう。
「....んん..........」
自身の横で眠り、寝息を漏らすキャンティ。起こしてしまっただろうか。乱れた寝具を軽く整え、ふわふわとした感触の毛布をかけ直してあげるとすぐさま包まり丸まってしまった。まるで子猫のようで、愛おしくて、毛布ごと彼女を抱きしめた。自身より一回り小さい身体を長腕に収めるのは容易かった。
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