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    無題ふと、目が覚めた。


    小窓から差し込む光は頭を覚醒させる程明るい訳でもなく、時計を見ずとも早朝だとわかるような淡く儚い物だった。長期の任務をこなし力を最後の1%まで使い果たした体は少々悲鳴を上げていたが、コルンはこの時間を好んでいた。誰に急かされる訳でもないこの時間は、誰に侵される訳でもないこの空間はどんな娯楽よりも心を落ち着かせる。稀に聞こえてくる小鳥の囀りはどんな音楽の巨匠だって唸らせてしまうだろう。


    「....んん..........」


    自身の横で眠り、寝息を漏らすキャンティ。起こしてしまっただろうか。乱れた寝具を軽く整え、ふわふわとした感触の毛布をかけ直してあげるとすぐさま包まり丸まってしまった。まるで子猫のようで、愛おしくて、毛布ごと彼女を抱きしめた。自身より一回り小さい身体を長腕に収めるのは容易かった。


    「...キャンティ」


    かわいい、すき、と幼子が覚えたような言葉を投げかける。起こさぬよう毛布を捲り薄暗い部屋でもよく目立つオレンジの髪を撫でる。足を絡めて額に口付ける。産まれたばかりの赤子に触れる様な、宝物に触れる様な手付きで彼女に触れる。


    年齢も体格も一回り小さな彼女に初めて出会った時から惹かれていた。空想の中で何度も抱きしめた彼女が今こうして自身の腕の中にいる、奪う事しか知らない自分が守りたいと初めて思えた大切な宝物。この幸せが崩れてしまう時はきっと世界が終わる時だろう。


    そんな事を考えながら再度夢の世界に落ちて行くコルンは自身の腕の中で顔を真っ赤にして唇を噛み締める彼女の事など知る筈がないのだろう。


    「.....どんな顔してればいいんだよ..........」


    ふと、目が覚めた。


    まだ自我を取り戻しきっていない意識を叩き起こし状況の把握を試みる。


    コルンと共に長期の任務を終えた身体は疲れ切っていて、昨晩は眠気に負けそうな互いを叩き起こしながら風呂に入り髪も乾かさずにベッドに入った。色事なんか起きるもんか、疲弊しきった身体が求めるのは上質な睡眠のみだった。


    そんな上質な睡眠を邪魔するなんて相手がコルンじゃなかったら一発お見舞いしている所だ。きっと邪魔しているつもりなどないのだろう、ふわふわの肌触りの良い毛布をかけ直すコルンに心の中で小さく感謝を伝えもう一度包まり眠りにつこうとした。
    否、つきたかった。毛布の上から抱き付いてくるコルンに寝ぼけてるんだろと心の中で小さく悪態をつきながら寝かせてくれと願った。


    「...キャンティ」


    それなのに突然名前を呼ばれたと思ったら続けて聞こえてくるのは小っ恥ずかしい内容の言葉ばかりでだんだん顔が赤くなり目も冴えてくる、毛布を捲られ慌てて目を瞑る、なんだいその壊れ物を扱うみたいな触り方 勘違いしちまうよ。


    純情な乙女みたいな感情抱くのは空想の中だけにしとくもんだと言い聞かせる。どれもこれも望んだ事だが互いに意識のある中で意思を持ってして欲しいと願った事だ、だけどこんな状況で狡いじゃないか。アタイのこと勘違いさせる様な事して


    「.....どんな顔してればいいんだよ..........」








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