穏やかな日差しが包み込むように肌を照らす。目を瞑り、深く息を吸い込む。雨上がりの湿った土の匂いと爽やかな晴天の香りがした。
エデンの園。
ここにいれば飢えることも苦しいことも死ぬことすらない。
豊かな大地を踏みしめるたびに力強い鼓動を感じる。雨が降れば優しく頬を撫でるように降り注ぎ、生まれたばかりの生命は無垢で穢れを知らず愛おしい。
全てが満たされている。こんな素晴らしい場所をなんの対価もなく享受していた。
ある日、木陰で動物たちとうたた寝をしていた。葉の隙間から漏れる陽の光が心地よく、生まれたばかりの生き物は温かい。互いに体を寄せ合って眠る。
「やぁ」
夜の風のように凪いだ声が聞こえて目を開ける。そこには麗しく光輝く天使がいた。
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