未来の約束『欲張りな臆病者』
お題:声が聞きたい、呟いた声、鼓膜を揺らす。
カタカタカタ……。
金曜の深夜——冬の週末、寒くて暗い部屋にモニターの明かりだけが灯る、冷え冷えとした寒い部屋にキーボードを叩く音だけが響いていた。静音機能に特化した、高校生が使うには少々値の張る代物。だが、生憎、道具には拘りたい質だった。毎日使う物は良い物を、妥協せずにお金をかけたい。
タンッ——。
苛立ったように力任せに叩き付けられたエンターキー。他人事なのはどうして言葉にできない怒りが指先にまで満ちているのか、理由が分からなかったからだ。静寂が満ちる部屋に思わぬ大きく響いたキーを叩く音に一番驚いていたのは僕だっただろう。バクバクと大袈裟なほどに心臓が跳ねる。まあ、この部屋には僕以外の人間はいないから、比べる相手など一人もいないのだけれど。
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