710○桜が美しく思えるのは君のおかげ
三年生との別れもつかの間、桜が満開になった今日この頃新入生たちが期待を胸に湘北高校の門をくぐる。友人と楽しそうに歩いている者、緊張で震えている者様々だ。
「リョーちん!」
そんなめでたい日に大声で呼ばれたかと思えばぐいっと手を引かれる。重力に従い、倒れこむが花道が下敷きになって痛みは感じなかった。
「何してんだ、馬鹿」
呆れながら言えばははっと笑い声が聞こえる。
「雑用で呼ばれてなんもないんじゃつまらねえだろ」
そう、なぜ入学式に在校生がいるのかと言えばバスケ部全員朝から入学式の体育館準備に駆り出されていたからだ。前日まで体育館を使っていいからと準備を受け入れた一同だったがまあ、面倒なことこの上なかった。
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