①飴ナシ奪取バトル
静寂の中に聞こえるのは、二人分の息遣いと、時折立てる微かな水音だけだった。熱いような、ぬるいような湿気が口内に広がっている。
エウリノームとバールベリトは、お互いにキスという行為を知らない。そんな二人がなぜ、唇を重ねているのか。そこに深い理由はない。全ての始まりは、バールベリトが自慢した飴玉だった。一つの飴玉を巡る遊びの延長で、唇が触れ合い、舌が絡み合うに至っただけのこと。
「ン…っふ……」
「……」
今回のゲームはエウリノームの先攻で始まった。カラコロと甘味を堪能し始めたばかりだったが、こうして仕掛けられた以上、乗る以外の選択肢はない。
口の中を好き勝手に舐めまわす舌に飴玉が奪われないよう、バールベリトは防衛に徹する。強引に戦場を切り開くかのように、分厚い舌が口腔に押し込まれ、少し息苦しい。負けてたまるか、と対抗するために唇を密着させて舌で押し返す。
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