聴覚センサーがとてとてとてという非常に軽い音を拾う。
振り返ると、入口から丸みを帯びた小さな司令官が元気に駆けてきた。
転んだ。
こちらが近寄り手を差し伸べる前に、スクっと起き上がりまたとてとてと走り寄ってくる。
その後二度の転倒の危機を乗り越え無事足元に到着した司令官は、今度はもちもちもちと音を立てながら左脚をよじ登ってくる。
手を差し伸べると、首をふるふると振り拒否を示された。
自力で登攀することに意義があるらしい。
三度の落下の危機を乗り越え、腕をそろそろと伝い机の上に降り立った司令官はパァァァと後光を纏いながら満足げに排気をした。
「こちらでお仕事をされますか?」
床に柔らかい布を敷き、その上に司令官のサイズに合わせた机と椅子を用意しているがそちらが使われることはあまりない。
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