嫉妬──また、ナンパされているのか…。
シマボシは、見慣れた光景にふぅとため息をついた。
「もうすぐ彼女が来ますので、お引取りください」
「えー」
時刻は平日18時の帰宅ラッシュ。人がごった返すターミナル駅の改札付近にある広場。
広場内に何本かそびえ立つ柱の周囲を、待ち合わせをする人々がくるりと取り囲んでいる。
その中でも一際飛び抜けた身長と顔立ちの良いウォロは、知らない女性からの誘いを断っていた。
──知り合いなら会話を中断したら悪いと思って迂回したが、こんな事なら正面から切り込むべきだったな…。
シマボシは彼の斜め後ろ側から近づいていたので、ウォロは彼女の存在にまだ気がついていない。
シマボシはウォロの彼女なので堂々と正面から名乗りを上げて良いのだが、ごった返す人の波で近づくタイミングを掴めず、2人の後ろで立ち止まっている。
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