芭琉くんが好き。
わかる、それはいつも言ってるって思うじゃん?違うんだよ。今日はいつになく芭琉くんが好き。
「ねぇ、戮」
「なぁに?」
「ちょっと隣に来てほしいな」
ソファーに座ってる芭琉くんが俺を呼んだ。勿論と言うように駆け足で向かって、隣にぼすっと腰掛ける。芭琉くんは「ありがと」と言って目を細めて笑った。ちょっと目線を下に泳がせてから、
「変な事言うかもなんだけどね」
「うん」
「…今日はいつもより、戮に、甘えてもいい?」
と、首を傾げながら聞いてくる。少し困り眉なのが心臓に悪い。
「え、そんなのもちろんだよ〜!芭琉くんだったら何でも嬉しい!」
「やったあ〜」
と言うと、芭琉くんは両腕を伸ばして抱きついた。世界一大好きな人がそばにいるって考えただけで幸せなのに、今は俺の腕の中にいて俺に甘えてる。一生このままでもいいかも、とか思ってしまう。
そのままされるがままにしていると、
「戮はかわいいね」
「いつもありがとう」
「好きだよ」
「ずっと一緒にいる」
なんて言葉を口に出して、芭琉くんは心底幸せそうな笑顔で角度を変えて抱き締めたり、頭を撫でたりする。芭琉くんの甘くて蕩けるような言葉に、思考が少しづつ失速していって使い物にならなくなった。
「えっ、あ…」
いつもより倍以上に浴びる大好きな人の言葉で、顔がどんどん熱を帯びている気がしてきた。嬉しい気持ちもあるけど、やっぱり少し恥ずかしい。でも、芭琉くんが楽しそうならいっか。