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    岩藤美流

    @vialif13

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    岩藤美流

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    フロジェイその1

    あずいでと同じ時空で大事故を起こしている双子ちゃんのおはなしです

    ##ふろじぇいちゃん

    何も思春期として正常な道筋を辿れなかったのは、アズール・アーシェングロットだけではなかった、という話である。



    「ねーねー、ジェイド。オレ、アズールの部屋でいいもん見つけた〜」
     フロイドがニマニマと笑いながらそのディスクを見せて来たのは、モストロ・ラウンジの営業も終わり、二人で就寝前の時間を仲良く過ごしている時の事だった。
     ウツボは元々狭い場所を好み、同種の個体同士で密着して過ごすことも多い。陸に上がった彼らも、ベッドは二つあっても同じ方に固まってじゃれ合っていることが多かった。特に、いつも片付いているジェイドのほうで。
    「おや、なんでしょう?」
     フロイドが差し出したディスクを受け取って、ジェイドは興味深そうに見つめる。タイトルなどは書かれていない。几帳面なアズールにしては珍しいことだ。
    「なんか〜、ベッドの隙間に隠してあったんだぁ〜。怪しくね?」
    「おやおや。アズールが僕達に隠し事だなんて。悲しくて涙が出てしまいますね。しくしく」
     いつものように嘘泣きをしていると、フロイドがディスクをひょいと摘んで、自分のベッドへと向かう。ベッドの下からは乱雑に放り込んでいた端末と、ディスクの再生機が出てきた。
    「てわけで、見てみよーよ」
     ね、ジェイド〜。フロイドはジェイドに抱きつきながら提案し、ジェイドも微笑んで「ええ、フロイド」と頷いた。
     それが全ての間違いの始まりである。陸で生きている者なら、その隠されかたがどういう意味を持つか察しただろう。しかしリーチ兄弟はそれが一体なんなのか、全くわかっていなかったのだ。




     十数分後、二人は宇宙を背景にして茫然としていた。
     ディスクの中身は人間の男同士の交尾だ(と、わかるまでにも随分時間がかかった)。
    「え……? なに? グロ……え? これなに? ホラー映画?」
     フロイドがドン引きしている。ジェイドはいつもの神妙な面持ちで顎に手を当て、「それにしてはグロシーンが長過ぎますね」と呟いた。
    「こんなに丁寧に臓器を露出して触るシーンを設けるでしょうか? しかもアップの状態が続いたまま、かれこれ数分は経過していますし、その割に血は流れませんね」
    「大体アレなんなの? あんなんついてねーよ、オレ達の体」
     フロイドがそう呟いて、寝巻きの中の股間を見やる。びろーんと下着まで広げて確認しているが、確かに画面に映るなんともグロテスクなモノとは違うように見えた。なんせモザイクまみれだし。
    「……フロイド、これはもしや」
     その時ジェイドはようやく天啓を得た。
    「陸の交尾なのでは、ないでしょうか?」
    「っ? こんなきもちわりぃの? 陸の交尾って……」
     フロイドが本気で引いた顔をしている。ジェイドは目を細めて、アズールの言っていたことを思い出していた。
    「陸では生殖器を露出して直接胎内に挿入することで交尾をし、雌の胎内にある卵に射精をすると言っていましたね」
    「えー? でもそれだとおかしくね? こいつらどっちもオスじゃん。交尾する意味ねーし」
    「しかも雄同士で交接するべき場所はあるんでしょうか? 排泄口ぐらいしか無いと思うのですが……」
     うーん、と首を捻るジェイドに、フロイドが悪魔的発想力で提案する。
    「じゃーさ、俺らも脱いで確かめたらいいじゃん」
     そして間違いは始まってしまった。
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    岩藤美流

    DONE歌詞から着想を得て書くシリーズ①であり、ワンライの「さようなら、出会い」お題作品の続きです。参考にした歌は「A Love Suicide」です。和訳歌詞から色々考えてたんですけど、どうも予想通りタイトルは和訳すると心中だったようですが、あずいでちゃんはきっと心中とかする関係性じゃないし、どっちもヤンヤンだからなんとかなりそうだよな、と思ったらハッピーエンドの神様がゴリ押しました。イグニハイド寮は彼そのものの内面のように、薄暗く深い。青い炎の照らしだす世界は静かで、深海や、その片隅の岩陰に置かれた蛸壺の中にも少し似ている気がした。冥府をモチーフとしたなら、太陽の明かりも遠く海流も淀んだあの海底に近いのも当然かもしれない。どちらも時が止まり、死が寄り添っていることに変わりはないのだから。
     さて、ここに来るのは初めてだからどうしたものか。寮まで来たものの、人通りが無い。以前イデアが、うちの寮生は皆拙者みたいなもんでござるよ、と呟いていた。特別な用でもなければ出歩くこともないのかもしれない。さて、寮長の部屋といえばもっとも奥まっている場所か、高い場所か、あるいは入口かもしれないが、捜し歩くには広い。どうしたものかと考えていると、「あれっ」と甲高い声がかけられた。
     見れば、イデアの『弟』である、オルトの姿が有る。
    「アズール・アーシェングロットさん! こんばんは! こんな時間にどうしたの?」
     その言葉にアズールは、はたと現在の時刻について考えた。ここまで来るのに頭がいっぱいだったし、この建物が酷く暗いから失念していたけれど、夜も更けているのではないだろうか。
    「こ 5991

    れんこん

    DONE第二回ベスティ♡ワンライ用
    フェイビリ/ビリフェイ
    お題「HELIOS∞CHANNEL」
    何度も何度も震えるスマホ、画面も何度も光って、最早充電も尽きかけてしまっている。
    鳴り止まなくなって電源ごと落としてしまうのも日常茶飯事ではあるけれど、今回は規模が違う。
    ……今朝おチビちゃんが撮ってエリチャンにアップロードした写真がバズっている。
    その写真は新しく4人の体制となったウエストセクターで撮ったもので……それだけでも話題性があるのは確かだけれど、それよりもっとややこしいことでバズってしまった。

    『フェイスくん、この首の赤いのどうしたの!?』
    『これってキスマーク……。』
    『本当に!?どこの女がこんなこと、』

    「はぁ〜……。」

    止まらない文字の洪水に、思わず元凶である自分の首を撫でさする。
    タグ付けをされたことによる拡散の通知に混じって、彼女たちからの講義の連絡も合わさって、スマホは混乱するようにひっきりなしに泣き喚いてる。
    いつもはなるべく気をつけているからこんなこと滅多にない。……ただ、昨夜共に過ごした女の子とはまだ出会ったばかり……信じて寝入っている間にやられてしまったらしい。
    今日はタワーから出るつもりがないから別にそのマークを晒していてもわざわざ突っ込んでくる 2313

    affett0_MF

    TRAININGぐだマンワンドロワンライ
    お題「天使の囁き/ダイヤモンドダスト」
    はぁ、と吐き出した息が白く凍っていく。黒い癖毛を揺らしながら雪を踏みしめ歩く少年が鼻先を赤く染めながらもう一度大きく息を吐いた。はぁ。唇から放たれた熱が白く煙り、大気へと散らばっていく。その様子を数歩離れたところから眺めていた思慮深げな曇り空色の瞳をした青年が、口元に手をやり大きく息を吸い込んだかと思うと、
    「なぁマスター、あんまり深追いすると危ねぇっすよ」
    と声を上げた。
     マスターと呼ばれた癖毛の少年は素直にくるりと振り返ると、「そうだね」と笑みと共に返し、ブーツの足首を雪に埋めながら青年の元へと帰ってきた。
     ここは真冬の北欧。生命が眠る森。少年たちは微小な特異点を観測し、それを消滅させるべくやってきたのであった。
    「サーヴァントも息、白くなるんだね」
     曇空色の瞳の青年の元へと戻った少年が鼻の頭を赤くしたまま、悪戯っぽく微笑んだ。そこではたと気が付いたように自分の口元に手をやった青年が、「確かに」と短く呟く。エーテルによって編み上げられた仮の肉体であるその身について、青年は深く考えたことはなかった。剣――というよりも木刀だが――を握り、盾を持ち、己の主人であるマスターのために戦 2803

    YOI_heys

    DONE第1回 ヴィク勇版ワンドロワンライ『ひまわり』で書かせていただきました!
    ひっさびさに本気出して挑んでみましたが、急いだ分かなりしっちゃかめっちゃかな文章になっていて、読みづらくて申し訳ないです💦これが私の限界…😇ちなみにこちらhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17839801#5 の時間軸の二人です。よかったら合わせてご覧下さい✨
    第1回 ヴィク勇版ワンドロワンライ『ひまわり』※支部に投稿してあるツイログまとめ内の『トイレットペーパーを買う』と同じ時間軸の二人です。
    日常ネタがお好きな方は、よかったらそちらもご覧ください!(どさくさに紛れて宣伝)



    第1回ヴィク勇ワンドロワンライ『ひまわり』


    「タダイマー」
    「おかえり! って……わっ、どうしたのそれ?」

    帰ってきたヴィクトルの腕の中には、小ぶりなひまわりの花束があった。

    「角の花屋の奥さんが、持ってイキナ~ってくれたんだ」

    角の花屋とは、僕たちが住んでいるマンションの近くにある交差点の、まさしく角にある個人経営の花屋さんのことだ。ヴィクトルはそこでよく花を買っていて、店長とその奥さんとは世間話も交わす、馴染みだったりする。

    ヴィクトルは流石ロシア男という感じで、何かにつけて日常的に花を買ってきては、僕にプレゼントしてくれる。日本の男が花を贈るといったら、母の日や誕生日ぐらいが関の山だけど、ヴィクトルはまるで息をするかのごとく自然に花を買い求め、愛の言葉と共に僕に手渡してくれるのだ。
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