いつかの未来、ふたりの巣のなかで(サンプル)ラプソディレーベルに所属して数年が経って、俺たち兄弟は実家を出て二人で住むようになっていた。
父さんと母さんは寂しがっていたけれど、俺たちの音楽活動の為に快く送り出してくれた。
といっても、実家も都内だから電車で数十分の距離だし、定期的に帰ってはいるけれど。
♢
今度のライブで共演する相手との飲み会を終えて帰宅すると、時刻は既に0時を回っていた。
「ただいま〜」
銀路からの返事は無い。既に寝ているか、それとも部屋に篭ってるのだろうか。
静かな家の中を進んで、銀路の部屋のドアノブに手をかける。
そのままドアを開けると、案の定、銀路は作業机に突っ伏して頭を抱えていた。ヘッドホンは着けていないが、寝ているわけでは無さそうだ。
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