火遊び「また阿大と喧嘩したって?」
私は腕を組んだまま目を細めて、吉祥の質問に答えなかった。問いを無視するというよりも、どう答えていいのかわからない。そんな顔をしていたのかもしれない。
「なあ姐さん、いい加減認めたらどうなんだよ。阿大のことが好きだって」
そうサラリと口にした彼に、私は即座に凄んだ。
「吉祥」
「はい」
「この世にはね、言っていいことと悪いことがあるの」
「はい」
「アンタが今、口にしたのは後者。あんな刀振り回すだけが取り柄の仏頂面なんて⋯私は絶対いや」
「でも阿大、姐さんが事務所にいるときはちゃんと起きてますよ? それにさあ、洛軍と信一の妹が最近いい感じだろ? あの調子で次は阿大にも春が来ないかなーって」
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