Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    りっか

    @Ritsuka0008

    しがない字書き

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 14

    りっか

    ☆quiet follow

    黒白「…………ん、」
    ちゅんちゅん、と小鳥が囀る声。起こさないようにと気を使ってくれたのだろう、閉ざされたカーテンの隙間から僅かに漏れる陽の光から、朝が来たことを知る。
    抱きしめて眠っていたはずの温もりはシーツからすっかり消えてしまっていて、ルイは思わずすんと鼻を鳴らした。いつまで経っても、目が覚めた時に彼がいないのは慣れない。だが扉の奥で控えめな鼻歌を歌う上機嫌な彼の声が聞こえるから、それに水を差すのも悪くてまた寝返りを打った。
    「……ふんふん、ふふーん、ふーん」
    音が鳴らないように控えめに開かれた扉。ぺたぺたと足音がするが、それも爪先からそっと足を下ろしているからか、耳障りには感じない。コトン、と枕元のベッドに何かが置かれた。そして間を置かず、ごそごそと彼がベッドに潜り込んでくる。
    「……ふふ」
    今日はやけに上機嫌だ。ルイの背にぴっとりとひっついて、まるで二人分の心臓がひとつになったみたいに、鼓動が大きく聞こえてくる。
    「ルイ、起きてるだろ?」
    「……気付いてたのかい?」
    「オレは何でもお見通しだからな」
    バレてしまっているなら隠す必要もない。改めて彼の方に向き直って、ぎゅっと身体を抱きしめる。
    「おはよう、ルイ」
    「うん、おはようツカサくん」
    触れるだけのキスを交わして迎える朝は格別だ。わざと音を鳴らすキスも最初はあんなに恥ずかしがっていたのに、今となっては進んでやってくれるのだ。ほんの少し寝癖のついた前髪を撫で付けて、ルイは髪にもキスを落としていく。
    「ん……くすぐったい」
    ツカサも負けじとルイにそれを返していく。隙間から覗いた光が、ツカサの髪を照らして煌めく。
    「……さっきは、何してたの?」
    「ココアを淹れたんだ。たまにはこんなのも悪くないと思ってな。ちゃんとルイの分もあるぞ?思ったより熱くなりすぎてしまったから、ルイと引っ付いてる間に冷まそうと思って」
    急に放り込まれた爆弾発言に、思わずルイは天を仰ぐ。ああもう、本当にこの子は!
    「ツカサくん、朝から煽らないで……」
    「喜んでもらえたなら何よりだ!それでは思う存分、イチャイチャしようではないか」
    「――今日一日、離してあげられなくなるよ?」
    「今日に始まった話じゃないだろう?それにオレも、今日はルイと引っ付いてたい気分なんだ」
    そっと首の後ろに手が回される。寝起きでボサボサの髪に愛おしそうに口付けたツカサは、柔らかく笑った。

    もう一度ココアを温め直すはめになったのは、わざわざ言うまでもない。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺💒💒💒💒💒💒💒💒💒💒
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works