素直になれない話「君なんか好きじゃない!」
そう叫ばれ、魏無羨は驚いた。
発したのは藍忘機。清流の水辺のように常に冷静でしとやか
で他人に感情を見せない男が、感情を露わにして怒っていた。
「お、おいおい……冗談だろ……。そんなに怒らなくたっ
て……」
「君がそんなことを言うからだ!」
彼の怒りは収まらない。何を言っても火に油を注いだが如く
怒りを見せている。これは困ったもんだ。どうしていいか分か
らず魏無羨は頭をかいた。
みんな俺のことが好きなんだ。お前だって本当は俺のこと
好きなんだろ?
そう言っただけなのに。それはそんなに怒る事だったのだ
ろうか。ちょっとからかって、うっとおしそうに否定するあ
いつを見てやろうと思っただけなのに。それなのにどうして
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