これから 人生はときに、びっくりするほどうまくいかない。
「バデーニさん、やっぱ俺こっちに越して来たいです」
「ダメだ。一限間に合わないんだろう」
バデーニにぴしゃりと言われてうなだれる。
バデーニの友人──共同研究者の墓参りから二日が経った。春休みも残すところ一週間。二人のこれからについて考えていく中で、さまざまな問題が浮上していた。
その中でも一番の問題は、オクジーがここを離れがたくなってしまったことだ。元々は春休みの間だけバデーニの家に住まわせてもらう予定だったが、叶うならこの先もこの家で暮らしたいと思い始めていた。こころのバランスを崩したバデーニを放っておけないという理由が半分、バデーニから片時も離れたくないというオクジーの願望が半分だ。
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