さいごのときは 隣で眠っていたはずの恋人が、突然ベッドから身を起こしたのは、夜ももう随分と更けた頃のことだった。闇の中に響く、乾いた荒い呼吸と衣擦れの音。薄く目を開けば、激しく肩を上下させながら胸を押さえているユウリの姿が見えた。
「……ユウリ? どうしたの、」
上体を起こそうとしたが、それよりも早く、全身の力が抜けたようなユウリの身体が、シーツの上にどさりと倒れ込んでくる。沈み込む恋人の肢体を、慌てて腕の中に抱き込んだ。わずかに凍えた背中が冷たい。掠れた声が、呟くように言った。
「……びくとる、」
「なに?」
吐息が触れるほどの距離で、ユウリはおれの名を呼ぶ。その指先がおれの頬を静かになぞる。
「……僕と『お別れ』する時はさあ、」
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