trigger「だ、誰だあんた!?」
キンッと耳を劈く叫び声が寝起きのジュンの頭を覚醒させた。
昨日というか夜中は一緒に寝ていたはずの七種茨はどこか幼く、姿かたちも寝る前とは全く変わっている。
背格好も髪型も少し小さく短い。
なにより今は也を潜めた生意気な目付きはここでは現在のようだ。
ともあれ、ベッドで寝転んだままの話ではないとダイニングテーブルへ移動し、ジュンは小さくなった茨のために温かく甘いココアを作った。
「え、茨……なんですよね?」
「……さぁね。ていうかあんた誰?」
「オレは……漣ジュンっていいます、あんたの…」
「俺の、……なに?」
さすがにここで"恋人です"なんて言えない。
なぜなら茨と付き合うまでの苦労が泡になってしまう気がしたからだ。
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