あなたが欲しい(んじんしょ)浅からぬ想いを抱いていると告げた。
僕も同じだ、と答えをもらった。
——そこから先に変化を求めようと、求めたいと、考えたことがなかったのだ。
そもそもが想いを告げたことだって、胸の内の心を収めていた器の許容量を超えて、あふれ出すように言ってしまったことだった。だから、雲次から同じ気持ちであると答えをもらったことさえ思いがけないことで、ただ、それが存外にも、心地よいことだった。
そうやって気持ちを互いに明かしたあと、雲次は少し赤らんだ頬ではにかみながら、抱きしめていいかな、と律儀に尋ねた上で私に腕を巻きつけた。きっと同じくらいの体温なのだろうけれど包むように抱き込められれば温かくて、求めるように力を込められたことに、くわりと胸の内がそわつく気配がした。
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