白痴に捧ぐ俺が同人誌の悪魔に未来へ呼び出されてからはや一ヶ月。
目の前の未来の俺……自分とは思いたくない、記憶を無くして呆けた男は相変わらずぼんやりとしている。
公安は俺を処分しないと決めたらしく(処分して未来の俺に影響が出ると困るためとのこと)俺は未来の俺の暮らすマンションに身を寄せるという名の未来の俺の介護をする羽目になっている。
まあ、介護要員の公安職員は定期的にやってきてはいるが。
「おい、歯ぁ磨くぞ。口開けろ」
起床したばかりでまだ寝ぼけ眼の未来の俺を洗面所まで引っ張り、口を開けるよう促す。
未来の俺は言われた通り素直に口を開け、俺は歯磨き粉をつけた歯ブラシで丁寧に歯を磨いてやる。
子供もいたことがないのに自分相手に子供の世話の真似事をしている……それがなんだか可笑しくて思わず自嘲する。
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