ふんふ〜ん、と鼻歌を歌いながら俺は出かける準備をしていた。
「えーっと…服装よし、ヘアセットよし、武器よし、笑顔も……よし!」
鏡に向かって笑顔を作るとラベンダーのような髪色をした長髪のウェディの青年が笑いかけてくる。
その見た目は自分の器であるアイクそのものであった。ウェディの服を着て、彼と同じ大剣を背負い彼のように微笑む。
「あー!ヒューザの反応楽しみだなぁ!」
そう嬉しそうに言い、ふと時計を見ると約束の時間が迫っていることに気が付き、慌てて外に出るとルーラストーンを取り出し待ち合わせ場所のジュレットの町へ向かう。
久しぶりのデートなのに遅れたら絶対ヒューザ怒るじゃん…と呟きながらヒューザの姿を探す。そして後ろ姿を見つけ駆け寄ると声を掛ける。
「ヒューザ、ごめん…待たせちゃった?」
「あ?お前遅れ……っ、ア、イ……」
呆れたような声色でいつものように文句を言おうとしてきたヒューザはこちらに振り返った瞬間、目を見開いて硬直していた。
え?そんなびっくりしてくれるんだ…もっと早くやればよかったな。
そう思っているとヒューザは怒ったような悲しむようなよく分からない表情と冷たい声色で脅すように喋りかけてくる。
「おい、アイザックお前…何の悪ふざけのつもりだ…?」
「え?何が?」
敢えてすっとぼけたような反応をしてみる。するとヒューザは苛立ったように剣に手をかけ、お前な…!と言ってくる。
「あー、もしかしてー…ヒューザが殺した『彼』の真似してるみたいって思った?」
「っ……あの、なっ……!」
「ただ同じ格好をしただけで大袈裟だなぁ…そんなにそっくり?」
睨み付けてくるヒューザに彼と同じ笑顔で笑いかける。一瞬殺意を滲ませるも急に辛そうな声と表情を向けてくる。
「…頼むから……辞めて、くれ……」
あいつの真似をするのだけは……とヒューザは懇願するように言ってくる。
泣きそうな顔して…そんなか細い声出すなんて堪んないなぁ…!ゾクゾクしてきちゃう…もっともっと『彼』の真似をしたらどうなっちゃうのか興味が湧いてきちゃうな。でも…今日はこのくらいにしてあげるよ。また今度可愛がってあげるよ、ヒューザ…♡