ハッピー・バースデイぴゅうと北風が吹く。思わず肩をすくめて縮こまる。確かに今日は今季初めて強い北風が吹くという予報だったっけ。天気予報ってやっぱりすげぇなと思いながら少しだけ歩を早める。授業でわからなかったところを先生に質問していたら、思いの外遅くなってしまった。早足で寮まで戻る途中、見慣れた人影を見つけた。
まだバスが走っている時間ではあるものの、バス停ではなく中庭のベンチにひとりで座っている。こんなにくそ寒いのに、一体あいつは何をやっているのだろう。カバンを背負い、帽子を被り、視線は足元を見つめていて、その表情はうかがえない。なんとく肩が落ちているようにみえるのは気のせいだろうか。枯葉たちが風に舞いながらフォージャーの足元に絡みつき、かさかさと音を立てていた。
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