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    513friday

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    513friday

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    貴方が出したCPシチュガチャは…
    10秒間キスしないと出られない部屋に閉じ込められ、攻めが受けにするものの、受けの息が続かなくて9秒で止まる えだひのきのカリ烈です、おめでとうございます!
    #CPシチュガチャ #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/970270

    やっと書き終わった
    後、出られるとは言ってないです

    #カリ烈
    severe

    △△△

     入ってくる光の量が目覚めたばかりの目には多くてチカチカする。窓のカーテンを閉め忘れて寝たらしい。
     昨日は、確か……。
     思い出そうとすると頭がズキズキ強く痛みだす。二日酔いか? 神父として、寝酒で深酔いするとは情けない。
     反省して、頭をスッキリさせようと身体を起こすと首がビキッと鳴る。床で寝ていたのか背中や腰も固まって鈍く痛い。どれ程、眠りこけていたのだろう。
    「カリム! やっと、起きたか☆」
     ぼやける視界に力を込めると、物がハッキリ見えてきた。鼻と鼻が付く距離まで近づき覗き込むレッカが、安堵した表情でカリムが目覚めた事を喜ぶ。
    「随分と目が覚めなくて、心配したんだぜ? 」
     不安からかレッカの凛々しい眉毛がなかなか上がらない。
     だが俺は何故レッカが"俺の部屋"に居るか、の方が気になる。
    「うるさいぞ、レッカ」
     頭に響いて響くだろ。興奮したレッカの暑苦しい声は現場の何処に居てもすぐ分かる程に大きい。余程に心配させたのは悪いと思うが、目の前で耳の鼓膜が破れそうな程の声を張らなくても聞こえている。
    「カリム、驚かずに聞いてくれ。俺たちは閉じ込められているんだぜ! 」
     見ろ! レッカが指差す方へ痛めた首を回す。指された先の扉には「10秒間キスしないと出られない」と、横に10秒をカウントダウンするタイマーの表示板がある。
    「なんだ? あれ」
     馬鹿の考えそうなタイトルに、"俺の部屋"ではない事に気づくカリム。
     そして、どうやら扉以外に出入口の見当たらないこの"俺の部屋ではない"殺風景な部屋で、カリムとレッカはふたりきりの監禁状態らしい。
    「ふざけたドッキリだな」とカリムはため息をついた。
     ドッキリならばキスをする条件など関係ない。仕掛けた側は残念だろうが、此方は条件を無視してさっさと扉を開けてしまえばいい。
    「カリム、怒らないで聞いてくれ」
     しかし、それを何故かレッカはしていなかった。
    「実は眠っている間のカリムに、キスをしても扉は動かせなかった」
     キスをしても扉は動かせなかった、だと……? きっと聞き間違いだが、それでもレッカに「キス、したのか? 」とそっちを恐る恐る確認した。
    「本当にすまない! 」
     雷に打たれた衝撃が頭痛の少し残る思考で「あり得ない」と繰り返す。な、んだと? 開いた口が塞がらないとは、この事だった。
     あァ……どうして、レッカが俺に? こんな事でキスを選んだ? 大変貴重な体験を意識がない内に済まされてしまった。思わず己の唇に触れてみたが、レッカの感触が残っている筈もない。悔しい!
     カリムは澄ました顔を崩さないでいるが、実は第1所属特殊消防官の中でも抜きん出る烈火星宮ガチ勢だった。
    「なんで俺をすぐ起こさなかったんだ、レッカ! 」
     レッカが好きで堪らないカリムは、性格が禍し思わず声を荒げてしまうも、直ぐに怒鳴ってしまった己に舌打ちをし、冷静になろうとする。
    「キスくらいなら俺でも出来ると思って……」
     でも、どうにも出来なくてな。と、もじもじ俯きながら子供の様に両手人差し指の先をツンツン合わせるレッカの姿を見て「もう、どうでもいい。今日も可愛いくて可愛い」以外の感情が湧かなくなってしまった。ただ、頬を染めて頭を下げながら身体を小さく申し訳なさそうにするレッカの態度から扉は本当に動かないらしい。
     反省よりもキスの動揺が高揚と共にドッドッドッと音を立てて加速していき、カリムの頭のエンジンが回転する。
    「カリムがお伽噺みたいなタイミングで起きてくれて! 本当に助かるんだぜ☆ 」
     己を頼りにされているその言葉に一瞬、顔が緩み掛けたがカリムは気付いた。
     「俺が眠りから覚めて目覚める姫役の姫の方なのかよ! 」
     口角を引き締めて仕掛人に悪態をつく事しか出来なかった。

    △△

     本当にここはどこだ? どこで寝ていた?
     外の時間も分からない。何もかもさっぱりで分からない事だらけだ。
    「「10秒間キスしないと出られない」んだぞ。分かって解ってるか、レッカ」
     これを鼻息荒く、目を見開いて、何度も攻めるように確認してしまう。5度目だ。
     何故なら、部屋唯一の扉が男手で開けられないほどに重たく出来ており「10秒間キスしないと出られない」事にリアリティーを足してしまったからだ。
    「うぅ……、分かってるぜ」
     未だカリムに黙ってキスした事を汐らしく謝る可愛いらしいレッカからなんとか視線を外し、扉横のカウントダウン表示を見る。10秒。
    「と言っても、いきなり唇にする訳にはいかねェ……」
     俺は紳士だから。とは言葉にせず場を弁える。
     それは緊張の瞬間。
     試しに、先ずはレッカ自慢の拳に唇を落としてみる。レッカがキスしても動かなかったカウントをカリムは動かせるのか。もしかしたらキスする正解の場所があったのかもしれない、と考えての行動だが予想通りカウントは減らずに反応がない。
    「終わったか? 」
     カリムが恥ずかしくない様にとレッカは気遣い、目を瞑って視線を合わせないでいた。
    「やっぱりカウントは動かねェな」
     レッカも目を開けてカウントを確認すると、突然レッカが控え目に「ふふっ」と微笑む。
     カリムが好きなレッカの表情のひとつ。その顔は暖かく綻び、周りを明るく照らす気持ちのいい笑顔。
    「なんだか、星拳の火傷を冷やしてもらった時みたいで懐かしいぜ」
     新人大会の後にすぐ冷やしてくれたよな、あの時はありがとう。カリムとの色褪せない思い出を語りだすレッカに、一目惚れのアプローチだったとは言えずにぎこちなく微笑み返す。
    「あ、ああ。そうだったな」
     そんな懐かしい話をしている性か、不思議とレッカが新人時代当時の姿に見えてきた。

    △△

     この部屋はおかしい。目覚めた時からずっと変だ。
    「……レッカ、ローブはどうした? 」
     さっきまで羽織っていただろ。一瞬で着替えたというのか? それに加え、今まで鍛えた筋肉を削がれた様に華奢なレッカが目の前にいる。
     ドッキリからマジックに変わったのか?
    「ローブは神父資格が認められた中隊長以上でないと着用出来ないだろ」
     カリムこそ、なんでローブ着けてるんだぜ。すっかりレッカの記憶は新人時代に戻っている様だ。
     何が起きたのかさっぱり分からない。
    「ジョーク冗談嘘八百だろ? 」
     信じられない、マジでマジなのか。
     目前のレッカはよく着古された赤いロングTシャツに太いサスペンダー、下は防火服姿。小隊をひとつ任せてもらえた頃の少し生意気な、懐かしい態度のレッカがそこに居た。
    「それより、ここから脱出しないといけないんじゃないのか? カリム」
     腕を組んで、どこか冷静に偉そうな指図をするが記憶は下っぱ時代。生意気な態度の年下レッカは新鮮で、また可愛い。
     だが監禁状態なのは理解している所を見ると、謎の安堵は疑問を増やしただけだった。
    「条件が条件だから順序と順番を踏んでるんだぞ、お前の為に……」
     人の気も知らないで、か。
     キスは同意の必要な儀式だと思っているカリムは、意地悪く目前の年下レッカを少しからかってやる。
    「そんなに俺とキスがしたいか? 」
     カリムは自分の唇の端をトントンと指して、レッカにわざとキスを意識させた。唇を指したカリムの指に視線が定まり、「うぅっ」と呻けば頬にサッと赤味が増す。喉から生唾を小さく飲む音も聞き逃さない。
    「別に。ここから出ないとダメだから、だぜ」
     明らかに興味はあるが、尻すぼみな言葉に経験の薄さを感じ取る。「そうだよな。神父目指してるもんな」と思わず年下になったレッカを可愛がりたくなってしまった。
    「じゃァ、「仕方がない」と割りきってくれるんだな? 」
     えい! ままよ、セイ!と勢いよく返事をするレッカの顔を、安心させる為に優しく撫でながら包み、お互いの額を近付けて目を閉じる。
     ソッと唇と唇を合わせると緊張で呼吸を止めてしまいそうだ。
     ここから10秒。チラと横目でカウントが動いているか確認したカリムは「唇を離せばカウントが止まるに違いない」とレッカの頭を離れない様に片手で抱き寄せて押さえ付ける。
     レッカが頭を抱えられた性で息苦しそうにする中、カウントはサクサク進んでいく。残りは後、1秒。

    △△△

     しかしカリムは、いきなりドン! と力強くレッカに肩を殴られ、余りの衝撃に唇と唇を離してしまった。
     鼻呼吸での息継ぎが上手く出来ずにいたのかレッカは、少し荒い口呼吸を繰り返していた。
    「か、カウントはどうなったんだぜ? 」
     カリムは殴られた肩を擦り、レッカに続いてカウントの表示を見た。
    「残念だが、また始めの最初からになっちまったな」
     本当に惜しかった。もう少しでレッカと2人で不思議なこの部屋から脱出出来たはずだったのに。
    「すまない。耐えられなくて」
     次は息を10秒止めてみせるぜ☆ とレッカの中で、いつの間にか脱出条件が刷り変わっている。意気込むレッカは可愛いが「息継ぎはしろ」と忠告しておいた。
    「誰だか分からないが、さっさと脱出する為に協力しあおうぜ☆カッチャ! 」
    「んが?! 」
     ウィンクでカリムを励ましているようだが、聞き捨てならない事があった。カリムは驚きを隠せずに唸る。
     誰か分からない、だと? 今まで仕事や生活を共にしてきた親友とも呼べる人間から忘れられた事がこんなにも衝撃的で、絶望に似ているなんて。現状を飲み込める訳がない。
     悪夢の様な馬鹿げた仕掛けのある部屋で、脱出に失敗する度にレッカの記憶からカリムが薄れていっている。一体どういう仕組みなんだ。
    「夢なら夢で覚めてくれ」
     夢? はたとカリムは気付いた。
     慌ててレッカの首に掛かる聖陽十字架を無理矢理に手繰る。
    「何をするんだ! 」
     やはり、そうだ。特殊消防官の首に掛ける聖陽十字架の裏には誕生日や名前、所属が刻まれている。軍でいうドッグタグの役割を担っていた。
    「……欠けてる」
     十字架をカリムから勢いよく奪い返すレッカは震えていた。
    「思い出した」
     欠けた聖陽十字架を見て己の記憶がしっかりしてきた。
     夕日の射し込む血塗られた赤い穴を。レッカは第1で弔い、埋葬したじゃないか。灰は灰として、炎炎の炎に還した。
    「フォイェンと俺でレッカの十字の左右を折って、それから……」
     急いでカソックのポケットの奥を探る。ひたり、と十字を分けた物が手に当たった。夢と現実はどっちだ?
     いつの間にか治まっていた頭痛が振り返す。
    「レッカ、お前は一体何なんだ……」
     ズキンズキンと鈍く痛みが脳に響き、目眩と耳鳴りがする。今にもバランスを崩して倒れてしまいそうだ。
    「本当にすまない」

     カリム。
     
     ドサッ、と膝から倒れ込んだカリムは意識の朦朧とする中で目を閉じた。

    △△△
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    #CPシチュガチャ #shindanmaker
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    やっと書き終わった
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    △△△

     入ってくる光の量が目覚めたばかりの目には多くてチカチカする。窓のカーテンを閉め忘れて寝たらしい。
     昨日は、確か……。
     思い出そうとすると頭がズキズキ強く痛みだす。二日酔いか? 神父として、寝酒で深酔いするとは情けない。
     反省して、頭をスッキリさせようと身体を起こすと首がビキッと鳴る。床で寝ていたのか背中や腰も固まって鈍く痛い。どれ程、眠りこけていたのだろう。
    「カリム! やっと、起きたか☆」
     ぼやける視界に力を込めると、物がハッキリ見えてきた。鼻と鼻が付く距離まで近づき覗き込むレッカが、安堵した表情でカリムが目覚めた事を喜ぶ。
    「随分と目が覚めなくて、心配したんだぜ? 」
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