空 手の届かない澄み切った青に、魚の群れのような白が浮かぶ午後。こんな天気のいい日は誰もが陽に当たりたくなるだろう。バーコード頭の子守唄から逃れたリョータは、この時間だけ最高の昼寝スポットになる裏庭へと向かっていた。今や手入れされることの無くなったその場所は、知る人ぞ知る秘密の場所である。
2階の渡り廊下からパイプ伝いに地面に降り、校舎と備蓄倉庫の隙間をするりするりと抜けていくと、目の前に突然ぽかりとした空き地が現れる。
「お、流川」
「ウス」
裏庭につき、周りを見渡すと見知った姿があったので声をかけた。軽く挨拶を交わし話を聞けばどうやらサボりらしい。
「悪いヤツ」
土埃っぽい朽ち始めたマットに寝転ぶ頭をぽんぽんと揶揄うようになぜると、物言いたげな視線でこちらを見詰めてくる。
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