桂木命のたからもの「〜♪♪」
ちょっとした休日、桂木命は普段触ることのないスマホを機嫌良さそうに眺めていた。
スマホなんて連絡さえ取れればそれでいい、なんて思っていたけどこの前水に落とした後同居人に機能のいいものに買い換えられたのだ。容量が多いとか、この機能がいいとか、話は右から左へ聞き流していたがこれは確かにいい。
そこに映っていたのは彼の宝物とも呼べる人達。この前に忙しいみんなが休暇を取れ、買い物を一緒にしてゲームも一緒にして、そんな楽しい日々を過ごした時の、そんな一瞬の1枚。
彼らへの感情は、あまり自分でもわかっていない。人に興味がない、わけではないが、とりわけ個人に向ける感情が薄い自分が強く思う人達。相手からは仕事仲間とだけ思われてるかもしれないが、桂木にとって相手からの感情はどうでもいい独りよがりなものだ。
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