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    ぜろごはん少しないように触れてるので未通❌
    ただの小話

    #TRPG

    桂木命のたからもの「〜♪♪」

    ちょっとした休日、桂木命は普段触ることのないスマホを機嫌良さそうに眺めていた。
    スマホなんて連絡さえ取れればそれでいい、なんて思っていたけどこの前水に落とした後同居人に機能のいいものに買い換えられたのだ。容量が多いとか、この機能がいいとか、話は右から左へ聞き流していたがこれは確かにいい。

    そこに映っていたのは彼の宝物とも呼べる人達。この前に忙しいみんなが休暇を取れ、買い物を一緒にしてゲームも一緒にして、そんな楽しい日々を過ごした時の、そんな一瞬の1枚。
    彼らへの感情は、あまり自分でもわかっていない。人に興味がない、わけではないが、とりわけ個人に向ける感情が薄い自分が強く思う人達。相手からは仕事仲間とだけ思われてるかもしれないが、桂木にとって相手からの感情はどうでもいい独りよがりなものだ。

    「何見てんの」
    「ん?あぁ、おかえりアズ」

    同居人兼保護対象、事件で助けた時から一緒に暮らしているその人物は、あー楽しかったなんて言いながら帽子を外し部屋でくつろぐ。

    「手洗えよー」

    んーなんてだらしない声を出しながらのそのそと洗面所に向かう後ろ姿を見て、ガキが大きくなったなぁなんて老けたことを感じる。

    この子と、仲間ぐらいである、自分の心の何かを動かしてくれるのは。だから大切で、守りたくて、傍にいたくて…
    自分よがりなドロドロしたものがわからないように笑って感情を流して、たぶん、誰にもバレてないと思うけど。あぁ、いや、アズには何かと気付かれてるな。この子も俺と同類、人を寄り付かせたくない、関わりを薄くしていたい…のは、事件による顔の火傷で心が傷ついているなんて理由がわかってる分マシなのかもしれない。

    戻ってきたアズが桂木のスマホを覗き込む。拒絶する必要のない相手だから隠しもしないが、その画面を見てうわーなんて声をあげられればなんだよと口をとがらせる。

    「盗撮?警察がなにやってんのさ、これ話のあの人たち?」
    「気付かれたら拒否るのいるからさー、うんそう、どれがどれかわかる?」
    「わかるよ、特徴ありすぎるしこの人達」

    写真なんて珍しいね、なんて言いながら眺める同居人の言葉に、確かになんて思った。あの時は、この瞬間を残したいって強く思った。でも言うには説明が難しいし、じゃあ気づいてないうちになんて撮った一枚の写真。
    事件の時になんてみれない楽しそうで、幸せな空間。俺ら警察の集まりなんて事件の隣に座ってるやつらが、仕事じゃなく集まってわいわいとゲームをしている姿。大切にしたいって思ったから、手が勝手に動いた。ただ、それだけ。

    「んーでもなぁ」
    「なんだよ、ほらもういいだろ」
    「いやぁ、わかるんだけどねぇ、ぼくもそうだし、んーうん、まぁ」
    「歯切れの悪いヤツ」

    ちょうど昼時だ、なにか二人分適当に作るかと立ち上がる。冷蔵庫に何があったっけかと考えながら偏食家の同居人に何を食べらせるか悩む。

    机に置かれたスマホを覗き込む。パスワード式だから開き方は知らない。ロック画面も初期状態の簡素なスマホ。そんな中に大切そうに秘密に宝物をしまっている困った同居人。醜い自分が彼女にふさわしくないと写真を拒んだ時のことを思い出す。
    あの時の説得された時の気持ちがあるからか、そう感じるのは

    「命が写ってないのは減点かなぁ」

    さて仲間に甘い同居人は何を作ってくれるのだろうかと軽やかな足取りでキッチンへと向かった
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