戀『プロテニスプレーヤーの手塚国光、熱愛!? お相手はあの有名企業の令嬢!?』
そんなチープで取るに足らないはずの熱愛スクープに跡部は深く息を吐いてパソコンの電源をケーブルごと抜き取ることで強制的に落とした。これが嘘か真実なのか、跡部にとって調査など容易いことなのだが、よりによってそのターゲットが手塚国光なのがいけなかった。跡部景吾の全てを懸けて戦った相手である手塚国光は永遠の宿敵であると同時に跡部の中では気のおけない友人の立ち位置でもあった。他の対戦相手と比べてもやはり一歩前に出るような、まるで特別視しているようにも自分でも感じるほどに手塚のことは気に入っていた。その手塚が知らないうちに手のひらからこぼれ落ちてしまったかのような錯覚に跡部は珍しく舌打ちをして荒々しくベッドに身を預けた。
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