伝説のパティシエ・プリキュアとしてたたかっていた頃から、はや数年。ほんの一瞬交わっただけの自分たちはそれぞれの道を歩み続け、今ではまったく別々の地に拠点を構えている。ゆかりが突然留学を決めいちご坂を離れてから、紆余曲折を経て遠距離恋愛へと発展したはいいが、慣れ親しんだいちご坂から離れたとはいえ国内にいるあきらとは違い、国外にいることもあるゆかりとは特段時間を合わせることが難しい。そんなゆかりが数ヶ月ぶりに帰国し、ちょっといいところでデートし、いいホテルに泊まって、まあ所謂あんなことやこんなこともしたのだが――
「体、洗ってあげるわ」
「え!? ちょっと、ゆかり!?」
それくらい自分でやるよ、と制止するも虚しく、ボディソープのポンプに手を伸ばし、白いてのひらで泡立て始めた。弧を描いたややぽってりとしたくちびるに、こうなったゆかりは止められないと諦念を抱く。もうどうにでもなれと大人しく備え付けの椅子でうなだれる。
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